クロマトグラフィー(LC・GCなど)は一体どのような原理で化合物の分離分析を行っているのでしょうか?使用されたことのない方はもちろん、実際に現場で使用されている方の中にも原理を正しく説明できる方は少ないかもしれません。このページでは、クロマトグラフィー(LCやGC)の原理や正しい分析結果を導くための理論について、わかりやすく説明をしていきます。
今回はクロマトグラフィーとは?原理について解説していきます。
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クロマトグラフィーの基本原理
クロマトグラフィーとは、端的に言えば「色グラフ」です。
多くの皆さんは、インクの付いた布や紙に水滴を落とした時、インクがグラデーション状に広がっていく様子を見たことがあるのではないでしょうか?
この現象は、インクという混合物が、落ちてきた水分(移動相)に溶けて布や紙(固定相)の中を移動していった結果であり、インクという混合物が分離して色グラフとなる、まさにクロマトグラフィーの原点ともいえるものなのです。
固定相(カラム)と移動相とは? -クロマトグラフィー装置の選び方
ここまで理解できれば、固定相(カラム・充填剤)と移動相を理解するのは難しくありません。先ほどのインクの例で説明すると、紙=固定相、水滴=移動相、となります。移動相が、対象の混合物を溶かして運び、固定相が移動してきた成分を固定するのです。
もう感づいている方も多いかもしれませんが、この「溶かして運ぶ」ということが液体クロマトグラフィー(LC)とガスクロマトグラフィー(GC)のどちらを選ぶか、また移動相・固定相の選び方に大きく関わってきます。
同じインクの例で説明すると、油性インクを使用している場合、水を落としてもグラデーションはできませんが、油を落とせば溶かしてグラデーションを作ることができますので、油性インクにおいては、移動相を油にすることで分析が可能であると考えることできます。
しかし、油にも水にもうまく溶けてくれない混合物や気体を分析したい場合、熱をかけて気化させ気体にして移動させる方法、つまりガスクロマトグラフィー(GC)を選ぶことが最適となるのです。
まとめ:クロマトグラフィー(LC・GC)の原理
いかがだったでしょうか?
一言でまとめると、
- クロマトグラフィーは分析対象を移動相で分離して、固定相の表面を移動させ、構成する成分の色グラフを作るもの。
- 分析対象が何に溶けやすいのか、によって移動相を変える必要がある
- 液体に溶けやすい分析対象には液体クロマトグラフィー(LC)を使う
- 気化する必要がある対象、もしくは気体の分析対象にはガスクロマトグラフィー(GC)を使う
また、液体クロマトグラフィー(LC)の原理とガスクロマトグラフィー(GC)の原理の違いは、分析対象は溶液に溶かして分離させるのか、それとも気化して分離しさせるのか、という違いのみである、ということもご理解いただけたのではないでしょうか? 実際の資料をご覧になりたい方は、ダウンロードいただけます。
資料は下記のシリーズで更新していきます。ご期待ください。
・クロマトグラフィーにおける保持(相互作用)を定量的に考える
・ダイポールーダイポール、パイーパイ相互作用、接触電荷移動錯体とは?-1
・ダイポールーダイポール、パイーパイ相互作用、接触電荷移動錯体とは?-2
・水素結合とは?
・イオン交換(イオンーイオン相互作用)、強い静電気相互作用?
・イオン化したアミノ基の分子認識
・充填剤の特性と相互作用
・溶媒との競合関係
・イオンとの競合関係-1
・イオンとの競合関係-2
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- GC関するリソース
GC (ガスクロマトグラフィー)とは?