サーモフィッシャーサイエンティフィックが提供している、ラボ情報管理システム(LIMS)、Thermo Scientific™ SampleManager LIMS™ソフトウエアは、35年以上の歴史を有し、製薬・化学・石油・食品業界はじめとした、世界中のさまざまな企業のラボにお使いいただいています。
中でも、製薬企業における生産の品質管理や研究開発のラボは、LIMSの導入によるプロセスのデジタル化が特に進んでいる分野です。サーモフィッシャーのSampleManager LIMSソフトウエアは、従業員規模が世界トップ10社の製薬企業のうち、約半数で導入されています。SampleManager LIMSソフトウエアをご導入いただいている世界の製薬企業では、どのような経営課題や目的を背景として、SampleManager LIMSソフトウエアの導入を決め、どのような課題をもとに、各フェーズに導入を進めているのか、その一例をご紹介します。
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LIMS導入背景となる経営課題および目的
LIMSを導入する製薬企業の経営課題や導入の目的は、主に以下となります。
- LIMSだけでなく、ERPシステムや製造実行システム(MES)などのラボ用基幹システムとのIT統合
- 分析機器やその他データシステムを用いた、ラボの自動化
- 業務プロセスの標準化
- ペーパーレスや、コストの削減、および品質の向上
事例:サーモフィッシャーのSampleManager LIMSソフトウエアが選定された背景
さまざまなLIMSサービスがある中で、お客さまはどのようなポイントで、サーモフィッシャーのSampleManager LIMSソフトウエアを選定されているのでしょうか。
多く評価いただいている点は、カスタマイズを最小限に抑え、標準搭載機能のワークフローの設定だけで必要要件をカバーすることができる、SampleManager LIMSソフトウエア製品の高い機能性です。また、世界中の製薬業界のQA/QCで広く展開されてきている長い歴史や実績を、ポイントとして評価いただくことも多くあります。
また、グローバルで複数の国々や拠点での導入実績や、バリデーション、多言語サポートを提供しているという点も、サーモフィッシャーのLIMSの強みとして評価いただいています。
事例:LIMS導入フェーズ1
ここでは、ある製薬企業のお客さまの導入を、フェーズ1・フェーズ2でご紹介します。
このプロジェクトは、品質管理(QC)とインプロセス(IP)のラボの両方をサポートする、新しくできた医薬品有効成分(APIs:Active Pharmaceutical Ingredients)の製造施設における導入からスタートしました。この導入においては、生産開始時期までにSampleManager LIMSソフトウエアの導入を完成させる必要があるという、納期的にも厳しい条件の中、多くの対応すべき要件がありました。
最初の要件定義において、必要な機能的要件を明確化しました。ここでは、サンプルや実験プロセスに関する情報を、ユーザーが保存、操作、および検索できるシステムが求められていました。またLIMS上には、環境モニタリングと共に、出荷および安定性試験を目的とした、全ての分析データを保管するための、集中型レポジトリーとしての機能も必要でした。
事例:LIMS導入フェーズ2
プロジェクトチームは、ワークフローを自動化することで効率を改善しました。また、コミュニケーションを促進するため、LIMSがラボ内外のシステムの、両方のインターフェースとなる必要性を確認しました。
ラボの内部では、はかりやpHメーターなどの簡易的な分析機器から、分析結果のデータ収集・処理を行うクロマトグラフや質量分析計といった、より複雑な分析機器にいたるまで、さまざまな機器と接続させる必要がありました。またLIMS は、ラボと外部システムを接続するハブとしても機能し、特に QC、運用管理のソフトウエアアプリケーション向けのERPシステム(SAP™)との連携も不可欠です。 加えてサーモフィッシャーのプロジェクトチームは、システムを運用時からスムーズに稼働させるため、多数のユーザー向けのLIMS利用のトレーニングプログラムを展開しました。
ここで実装されたSampleManager LIMSソフトウエアは、将来的にこのお客さまの他のグローバルサイトに展開する計画があり、プロトシステムとしても活用されています。
事例:LIMS導入後時のソリューション
サーモフィッシャーは、お客さまのこのような納期的に厳しいスケジュールという重要な課題に対応するため、複数の拠点にわたってビジネス要件の収集や標準化をサポートしました。その後、要件と実際に設定したワークフローに差異がないかを確認するため、お客さまとの間でワークショップを開催しました。このワークショップで発見された差異は、システムの導入および構成の基礎を形成するため、設計仕様へと展開されています。
また、フェーズ1の実装では、適格性評価(PQ)および安定性試験のバリデーションも実施されました。このシステムは、SAPを介したサンプル登録、テストの割り当て、ラベル生成、 ワークシート・結果の入力およびレビュー、バッチ処理、分析証明書、安定性試験、環境モニタリング、管理報告やその他多くの項目に共通する傾向分析など、全ての要件に対応するよう構成されています。
SAPとLIMSを連携させるインターフェースにより、倉庫に受け入れた製品ごとのサンプルを自動的に登録するためのQC 機能も可能になりました。このインターフェースは、再試験(有効期限)の日が近づいている材料に関する、サンプルの自動登録要件にも対応しています。
プロジェクトの期間中、お客さまはサーモフィッシャーのプロジェクトメンバーと適切にコミュニケーションを取ることで、プロジェクトの進行を早めることが可能になりました。また、サーモフィッシャーとお客さまの、両者の積極的な関与と実践的なアプローチにより、意思決定やドキュメント処理の期間を短縮させることができました。サーモフィッシャーが持つSAPの専門知識は、このプロジェクトの成功に必須でした。
またサーモフィッシャーは、遠隔地での展開を促進するため、各国のパートナーネットワークを活用して、ローカルデータの設定および、母国語でのエンドユーザーのトレーニングを支援するリソースを提供しています。
LIMS導入によるビジネス上の利点:
サーモフィッシャーのSampleManager LIMSソフトウエアの導入により、以下のような多くの利点があります。
- ミスが発生しやすく時間を要する、手作業のドキュメントによる処理を削減
- データの質、完全性および有用性を強化
- コストの高い非効率な社内のアプリケーションをなくすことにより、経費を削減
- ラボ全体で統一された検査手法、SOP、仕様およびその他のラボ業務との統合・標準化により、ワークフローを最適化
- サーモフィッシャーのスタッフおよびパートナーにより、グローバルで一貫性のある展開が可能
- 変化するビジネスプロセスに対する高い柔軟性を提供
- システムおよび機器のオートメーション化
- システム統合により、生産性と効率性を改善
- 製造ロットを原料および EM データへ直接トレース可能
サーモフィッシャーサイエンティフィックが提供するラボ情報管理システム(LIMS)は、ラボ用ソフトウエアおよび関連サービスの、世界的リーダーであり、世界の主要な製薬企業に対して、SampleManager LIMSソフトウエアのソリューションを提供しています。
また、当社のLIMS・CDS・SDMS、そしてその他のインフォマティクスソリューションは、世界中の多くの製薬企業で、製造品質データを管理しており、導入・トレーニング・メンテナンスやサポートなどを幅広く提供しています。
LIMSやCDSソフトウエアの展開とメンテナンスには、初期のプロジェクト要件の定義、ソリューションの導入/検証から継続的なサポート、そしてトレーニングなど、多くの課題が伴います。サーモフィッシャーは、ソフトウエアの展開、プロジェクト管理、コンサルティングおよび機器とシステムの統合を組み合わせた独自の方法によって、包括的な幅広い導入および検証サービスを提供しています。
サーモフィッシャーは、グローバルで経験豊富なエキスパートを兼ね備え、業界に対して高いレベルのインフォマティクスサービスを提供しております。
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