今回は、LIMSと呼ばれるラボ情報管理システム、また、LESと呼ばれるラボ実行システムを使用することで、どのようにラボのDX化や生産性・規制対応を強化させることができるかについてご紹介します。
LIMSという言葉は聞いたことはあっても、LESは初めて聞く方も多いのではないでしょうか。LIMSは、ラボの業務フローの流れを管理するシステムです。また近年、特に製薬企業はじめとしたお客さまから、試験の細かい手順を電子化し、その手順を実行した記録の結果も含めて管理したいというご要望をよく伺います。そのような機能に対応したラボ実行システムを、LES(Lab Execution System)と呼んでいます。
今回は、LIMSとLESを活用して、どのようにラボのDX化を促進し、生産性や規制対応を強化させることができるかについてご紹介します。
SampleManager LIMSソフトウエアの構成要素
Thermo Scientific™ SampleManager™ LIMSソフトウエアは、サーモフィッシャーサイエンティフィックが提供しているソフトウエアです。製薬・化学・石油・金属・飲料など、さまざまな業種のラボで、トレーサビリティや品質、コンプライアンス対応のために、そしてラボの生産性や効率性を高めるためにお使いいただいています。
SampleManager LIMSソフトウエアの構成要素としては、サンプルや試験、そして結果を管理したり、ラボの在庫や機器、そこに付属する消耗品を管理したり、といった全体の業務フローをカバーするためのLIMSが中心です。
またLESという、ラボ実行システムの機能も有しています。これはお客さまのさまざまな試験のステップをあらかじめマスターとして作成して登録しておくことができる機能です。SOPを電子的に記録し、そのマスターを実行することで、利用履歴を残すことができます。このLESの機能もSampleManager LIMSソフトウエアの標準機能の一つです。
また、ELN(電子ラボノート)という、SampleManager LIMSソフトウエアの中でMicrosoft™ Excel™やWordのような、非定型フォーマットを記録として加えていく機能も有しています。
最後の一つはSDMSという機能です。これは、分析機器の生データをそのまま管理するものです。例えば液体クロマトグラフィーなどの分析機器のデータファイルは、通常、分析機器特有のファイルフォーマットになっているため、その分析機器のソフトウエア上のデータを確認することができません。当社のSDMSを使っていただくことで、当社だけでなく他社の分析機器の生データファイルも取得でき、その生データをXMLという共通のファイルにコンバートして保存しておくことができます。
SDMSを使うことで、ベンダーやそのデータファイル形式に依存しない中立的なデータに置き換え、それをSampleManager LIMSソフトウエアに保存しておくことで、将来的にデータを活用・解析に使いたいときに役立てることができます。
LES(ラボ実行システム)を活用しコンプライアンスを強化
SampleManager LIMSソフトウエアに搭載されているLES(ラボ実行システム)は、ラボにおける試験手順を、実行した記録の結果も含めてより電子的に管理したいというお客さまから、よりコンプライアンス強化を目的としてご要望いただくことが増えています。LES機能を用いることで、お客さまは文書と図表により、電子的な指示書や動画の内容に従って、試験の各手順を正しく実行することができます。
例えば上の画面の例では、左側にステップを設け、各ステップの指示が右上に画像と共に表示されています。また下に何をどのくらい測り取るかなど、詳細な作業手順の情報をマスターとして登録することができます。また下の画像のように、手順から逸脱した作業を行った場合は、エラーが表示されます。
実際に作業する人は、このマスターに沿って手順を行い、その結果を実施の履歴として残すことができます。
このような履歴管理は、紙ベースの場合は管理が難しいかと思いますが、電子管理を行うことで、履歴の改ざんも防ぐことができます。特に製薬企業のお客さまでは、こういった各試験手順の電子管理が進んでいます。LESの機能は、タブレットでも使えます。タブレットで試験手順を見て、試験業務のフローを記録し、管理するということもできます。
SampleManager LIMSソフトウエアの詳細は、以下をご参照ください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。
Microsoft and Excel are trademarks of Microsoft Corporation.