エッジ効果とは細胞培養中に96ウェルプレートの、特に外周ウェルの培地量が減少し、ウェル内における細胞状態や増殖の悪化を引き起こす現象です。原因は培地の蒸発ですが、エッジ効果により内側ウェルと外周ウェルの間にデータに差が生じるために外周ウェル以外の60ウェルのみの使用を強いられる場合があります。これはコストアップや作業の増加につながってしまいます。
そこで今回は、エッジ効果を抑制できるNunc Edge 2.0 96-Well Platesをご紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・ハイスループットスクリーニング:低蒸発のため、長期タイムラプス細胞イメージングに最適
・ロボットシステム:液体ハンドリングデバイスやデータ処理を用いた自動化にも対応
・細胞クローニング:低蒸発のため、限界希釈培養や少容量培養が可能になり抗体価が安定
エッジ効果とは
エッジ効果の原因はCO2インキュベーター内の循環エアへの暴露による培地の蒸発ですが、この現象による培地成分の濃度上昇や外周ウェルのpHの変化によって培養細胞へのストレスやダメージが引き起こされます。今まではエッジ効果を回避するために外周のウェル一列に滅菌水やPBSを入れていましたが、これは外周一列36ウェルのロス=約2/3のウェルしか使用できないことを意味しています。
この問題を解決できる製品がエッジプレートです。使用法は非常に簡便で、プレートの周辺にある4か所のモート部に1.7 mLの滅菌水やPBSを入れるだけです。
Edge 2.0 96-well Plateと他製品の蒸発量/細胞生存率の比較
Edge 2.0 96-well Plateは周辺のモート部により、通常の96ウェルプレートに見られる外周ウェルの蒸発、エッジ効果を大幅に低減させています。
各ウェルにおける蒸発量比較
【実験方法】
1. インキュベーションの前にEdge 2.0 96-well Plateの4カ所のモート部に1.7 mLずつの滅菌水を入れました。
2. Edge 2.0 96-well Plateと通常の96マイクロウェルプレートの0.1%メチルバイオレット溶液を100 μL/ウェル分注しました。
3. すべてのプレートを37℃で4日間、CO₂インキュベーター内でインキュベーションしました。途中、実際の使用条件を再現するために1時間ごとに15秒間、1日計7回、CO₂インキュベーターのドアを開けました。
4. プレートの全蒸発量はインキュベーションの前後の重量の差によって判定しました。各々のウェルの蒸発量は各ウェルから50 μLのメチルバイオレット溶液を96ウェルプレートに移し、590 nmで吸光度を測定することにより判定しました。
細胞生存率のバラつきは通常プレート(Brand NやC)と比較して周辺モート部のあるEdge 2.0 96-well Plateで最小限まで低減されています。
細胞生存率
【実験方法】
1. ヒトcarcinoma由来549細胞(9,000 cells/mL、100 μL/ウェル)を10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、2 mMのL-グルタミンを含むDMEM培地で培養しました。この時にEdge 2.0 96-well Plateのモート部には滅菌水を満たしました。
2. 37℃のCO₂インキュベーターで4日間培養した後にA549細胞の生存率をAlamarBlueアッセイによって判定しました。各々のウェルの細胞生存率のバラつきはパーセント計算しますの分散によって計算します。
多彩なアプリケーション例
96ウェルすべてを有効に使用でき、全ウェルの測定値を精度高く評価できます。
・細胞シグナルと転写因子:細胞シグナリングや転写因子の活性化、移行、極性の解析
・細胞周期と細胞増殖:細胞周期や増殖段階の解析
・細胞毒性とアポトーシス:細胞毒性や細胞死の解析および関連パラメーターの解析
・炎症と細胞ストレス:炎症や細胞ストレスに関連したマーカーやパラメーターの解析
・細胞形態と形態変化:細胞骨格や他の細胞形態パラメーターの解析
・遺伝子毒性とDNA損傷/修復:染色体の不安定性やDNA損傷パラメーターの解析
・細胞遊走と細胞運動:細胞遊走と細胞運動の解析
まとめ
Edge 2.0 96-well Plateの特長
・エッジ効果を抑制することにより96ウェルすべてを有効に使用でき、全ウェルの測定値を正確に評価できる
・Nunclon Delta処理により細胞接着性・増殖性を促進(細胞培養用)
・ANSI/SBS国際標準基準に準拠
・滅菌保証レベル SAL10-6
詳細については、Edge 2.0 96-well Plateの製品ページをご覧ください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。