EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌とは
EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌とは、酸化エチレンガスを使った滅菌処理のことです。使用されるエチレンオキシドが病原菌のDNAを変異させる効果を持ち、強力な滅菌性能があることから、一部の医療機器の滅菌処理に使用されています。
しかし、エチレンオキシドは有毒で引火性、発がん性を伴い、多くの材料に吸収されやすい性質を持つことが知られています。エチレンオキシドへの暴露により、炎症、中枢神経系の機能低下、自然流産、各種のがんが発生する恐れがあります。そのため、サージカルマスク(医療用マスク)などの滅菌処理に使用した場合、残留ガスがないかどうかを確認することが必要です。
エチレンオキシドへの暴露を避けるために
前述の通り、エチレンオキシド(酸化エチレン)は人体に有害なことが確認されているため、エチレンオキシドを使用したEOG滅菌処理を行ったサージカルマスク等は、通常10時間程度のエアレーション(空気清浄)による残留物質の除去を行います。
しかし、EOG滅菌後のエアレーションを一定時間以上行った場合でも、残留物質によって人体に悪影響が発生する場合もあり、本当に酸化エチレンガスの除去が完了したかを確認するためには、何らかの検出器を使った分析が必要になります。
そのためにおすすめなのが、水素炎イオン化検出器(GC-FID)メソッドによる分析です。
残留ガス分析のためのGC-FIDメソッド
Thermo Scientific™ TriPlus™ 500ヘッドスペース(HS)オートサンプラーを、Thermo Scientific™ Instant Connect FIDが搭載されたThermo Scientific™ TRACE™ 1310ガスクロマトグラフに接続した上での分析が非常に効果的です。TriPlus500 HSオートサンプラーは、GCの注入口を通さずに分析カラムに直接接続できるため、サンプルパスが大幅に短縮され、サンプルの移動が最適化されます。また、キャリアガスに窒素を使用し、ヘッドスペースバイアルを加圧すれば、従来の高価なキャリアガス使用時に比べて分析費用が削減されます。たとえば、ヘリウムでは窒素の50倍以上もの費用がかかる場合があります。
当社のGC-FIDメソッドは使いやすく信頼性の高いシステムであり、サンプル調製の必要がありません。適切に使用することができれば、医療用マスクに残留しているエチレンオキシドや2-クロロエタノールなどの有害な揮発性不純物について、迅速かつシンプルで、費用効果の高い分析が可能となります。
下のダウンロードリンクから、実際に当社のGC-FIDメソッドを使用した実験のアプリケーションノートをダウンロードいただけます。
EOGによる滅菌処理について関心のある方は、ぜひお役立てください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。