キャピラリ電気泳動システムを使用してフラグメント解析を行う上で、どのようにしてデータを検出しているのか考えたことはありませんか。そこで今回は、フラグメント解析の原理について分かりやすく説明したビデオをご紹介しますのでご覧ください。
▼こんな方におすすめです!
・マイクロサテライト解析を行っているけど、検出原理は考えたことがなかった
・SNPジェノタイピングは、フラグメント解析でできるのか知りたい
ビデオの内容について下記に簡単にまとめてありますので、ぜひご参考になさってください。
昔は結構大変な技術だった?
フラグメント解析とは、突然変異検出、SNPジェノタイピング、DNAプロファイリング、遺伝子マッピング、連鎖解析など、さまざまなアプリケーションに使用される遺伝子解析手法全般のことを指しています。この方法により、さまざまな疾患や染色体異常を検出することができます。
従来の方法では、DNAフラグメントはアガロースやポリアクリルアミドゲルなどを使用してサイズごとに分離し、サイズスタンダードと比較することで決定していました。エチジウムブロマイドや放射性同位元素を使用し、スラブゲルでの電気泳動中または電気泳動後にDNAフラグメントを標識することにより、可視化し検出していました。現在では、安全な蛍光色素を使用し、より高い解像度と精度で分離が可能なキャピラリ電気泳動システムを使用する手法が主流となっています。
蛍光検出の仕組み
キャピラリ電気泳動システムでフラグメント解析を実行するためには、目的領域を挟み込むように2本のプライマーを設計する必要があります。また、蛍光色素はForwardまたはReverseプライマーのどちらか一方に付加します。
PCRによって増幅されたフラグメントはサイズスタンダードと混合しますので、この時サイズスタンダードは、ターゲットであるフラグメントの蛍光色素とは異なる色で標識されている必要があります。蛍光標識されたPCR産物とサイズスタンダードは、動電学的にキャピラリに取り込まれます。電極間に高電圧が印加されると、負に帯電したDNAフラグメントは、ポリマーで満たされたキャピラリ内部を通って、陰極側から陽極側に向かって移動します。ポリマーは緩い網目構造をとっており、DNAフラグメントがポリマーの中を移動する時、小さいフラグメントは速く移動し、大きいフラグメントほど遅くなるため、サイズによってそれぞれを分離することができます。
また、陽極に到達する前に、蛍光標識されたDNAフラグメントは、レーザービームを通過します。レーザービームにより、フラグメント上の色素が蛍光を発し、CCDカメラが蛍光を検出することで、電気泳動図にピークとして表示できます。
SNPジェノタイピングもフラグメント解析で対応できます
フラグメント解析で使用できるアプリケーションはたくさんありますが、1つ特殊な系をご紹介します。それは、一塩基多型またはSNPジェノタイピングです。
Applied Biosystems™ SNaPshot™ Multiplexキットは、異なる長さのプライマーを使用して、最大10個のSNPマーカーを同時に解析できます。プライマーは、10個の異なるSNPに隣接する配列にアニーリングするように設計し、プライマーがアニーリングすると、アニーリングしたプライマーから1塩基だけの伸長反応を行います。この時、プライマー配列のすぐ隣の鋳型に相補的な蛍光ターミネーター(ddNTP)を付加することになります。4つのddNTP(ddGTP、ddATP、ddTTP、ddCTP)はそれぞれ、異なる色素で蛍光標識されていますので、すべて同じ長さで検出されても取り込まれたddNTPの色によって配列を知ることが可能になるのです。
まとめ
・フラグメント解析も、今では安全な蛍光色素を使用する方法がメインになりました。
・DNAフラグメントは、ポリマー内を移動する間にサイズ分離されています。
・SNPジェノタイピングもフラグメント解析でカバーできます。
さらに基礎的なビデオをお探しの方は、他のSeq It Out™もぜひご覧ください。
フラグメント解析アプリケーションガイド(日本語版)
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。