昨今の報道から、PFASというキーワードが市民権を得たような形になっていますが、みなさんはPFASについてどのような認識をお持ちでしょうか?
日本国内の報道では、一部が有害とされる有機フッ素化合物のPFASについて、河川や地下水などの水質調査の結果が公表され、多数の地点で国の暫定目標値を超過したことが分かっています。
このブログ記事では、水質調査の発端となったアメリカ3M社が、2025年末までにベルギー工場のPFAS関連製品の製造から撤退を決めた背景および、プラスチックボトルの材質への影響と代替候補となるボトル材質についてご紹介します。
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有機フッ素化合物PFASって?
PFASは、正式には有機フッ素化合物の一部で、“ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称”を指します。物質の数では、1万種類以上の物質があると言われています。その中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されています。PFOS、PFOAには、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、環境中への排出が継続されると、分解が遅いために地球規模で蓄積されてしまいます。このような物質であることから、人の健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。日本国内では、河川・地下水などの水環境においてはPFOS、PFOAの暫定目標値(50 ng/L)が定められています。
アメリカ3M社が、2025年末までにベルギー工場のPFAS関連製品の製造から撤退を決めた背景
先ほど説明しましたPFOS、PFOAは、コレステロール値の上昇、発がん、免疫毒性との関連が報告されています。ただし、どの程度の量が人体に蓄積されると影響が出るのかについては、まだ検討段階でわかっていません。そんな中、3M社が2025年末までにベルギー工場のPFAS関連製品の製造から撤退を決めました。もともと、3M社とベルギーのフランダース地方政府との間で土壌修復プロジェクトが10年以上続けられていたと言われていたことから、製造撤退はその結果の1つと言えるでしょう。詳細は公表されていませんが、長期間にわたり“土壌修復プロジェクト”を行っていた背景からも、工場周辺の土壌や水環境に何らか影響あったことは容易に想像できます。撤退時期を、“2025年末”としているのは、世界的に高いシェアを持っている3M™ 製品を原料とした最終製品がとても広範囲に亘り、影響がとても甚大になるからと言われています。
今年は、2024年でまさに“嵐の前の静けさ”と言えるでしょう。筆者である私自身、身の回りのアイテムだけでも、PC・スマートフォンなどの電気製品に始まり、フライパンなどの調理グッズやLED照明にも影響があると思われます。どれも生活に直結するアイテムばかりです。
テフロンボトル・フッ素加工ボトルが市場から消える!?
一方で、プラスチックボトルにはどのような影響が考えられるでしょうか?大きく分けると2つのボトル材質で、今後原料調達に影響があると思われます。1つ目は、テフロンボトル、2つ目は、フッ素加工ボトルです。これらボトルでは、価格上昇と欠品のリスクが予想されます。化学薬品耐性の観点からテフロンボトル・フッ素加工ボトルをお使いいただいているお客さまがほとんどだと思いますが、本当に“テフロンボトル・フッ素加工ボトル”でないとダメでしょうか?これを機に、リスクヘッジの観点からもプラスチックボトルの材質についてご検討いただくことをおすすめします。
代替となる材質のプラスチックボトルのご紹介
代替となる材質として2つのボトル材質をご提案します。
化学薬品耐性の観点では、HDPEボトルがPPCOボトルより優れています。一方PPCOボトルは、オートクレーブ滅菌が可能ですので、滅菌性能の観点でおすすめです。もちろん、テフロンボトル・フッ素加工ボトルと比較しますと、決して万能ではありませんが、化学薬品耐性に優れていることがわかっています。何より、PFASの問題に対するリスクヘッジになり、安価であることからご提案させていただきました。
当社が販売しているThermo Scientific™ Nalgene™ボトルは、原料の樹脂レジンにバージンレジンが使用されています。また、ボトルの製造過程で、溶出の原因となる“可塑剤・離型剤”をほとんどのアイテムで不使用にすることで、低溶出のボトルをご提供しています。これは、仮に薬品でボトルが腐食されるようなことが起きても、内容物への溶出のリスクを最小限に抑えることができると言え、分析を行うお客さまにお役立ていただけると考えています。
製品詳細・具体的な化学薬品耐性につきましては、当社までお問い合わせください(info.LPG.jp@thermosher.com)。代表的な薬品に対する化学薬品耐性一覧表や適切なボトルをご案内しております。
付帯サービスとしてボトル洗浄も承っております~クリーンボトルサービスのご紹介~
Nalgeneボトルをお求めいただいたお客さま向けには、ボトル洗浄についてもご案内しています。当社のクリーンボトルサービスは、国内洗浄委託工場と提携し、超純水を使用したボトル洗浄サービスをご提供しています。パーティクルや各種メタル成分を低レベルに抑えることができます。低溶出のNalgeneボトルに、ボトル洗浄サービスのクリーンボトルサービスを組み合わせていただくという、環境面に配慮した高付加価値サービスをご提案しています。
製品詳細・具体的な洗浄スペックにつきましては、当社までお問い合わせください(info.LPG.jp@thermosher.com)。
Nalgeneクリーンボトルサービスの詳細はこちらから
まとめ
いかがでしたでしょうか?本ブログでは、話題のPFAS問題からプラスチックボトルへの影響についてと、その代替えとなるボトルの選択、ボトル洗浄サービスについて触れてきました。PFASのリスクヘッジとしてのご提案でしたが、プラスチックボトルの材質選択の一助となりましたら幸いです。材質選択にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
Nalgeneボトルやクリーンボトルサービスについて
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テフロンは、The Chemours Company FC, LLC の商標です。
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