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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 連載NanoDrop道場 第4回 いろいろな核酸サンプルの吸光度を測定しよう!~分解産物~

連載NanoDrop道場 第4回 いろいろな核酸サンプルの吸光度を測定しよう!~分解産物~

Written by LatB Staff | Published: 04.01.2024

今回は分解したRNAサンプルの吸光度測定への影響について確認します。吸光度測定は核酸サンプルの「質」の評価が可能です。核酸サンプルの「質」はサンプルに含まれる「夾雑物の確認」と「分解度」の2つの意味合いがあります。夾雑物が含まれる核酸サンプルは吸光度の波形情報から推測が可能でしたが分解した核酸は吸光度から評価できるでしょうか?

▼こんな方におすすめです!
・吸光度測定を実施されている方
・超微量分光光度計をご利用・ご検討の方

▼もくじ [非表示]

  • 分解したRNAサンプルの吸光度
  • 電気泳動によるRNAサンプルの「質」評価
  • 吸光度スペクトル情報とRNA分解度評価
  • まとめ
    • 連載NanoDrop道場

分解したRNAサンプルの吸光度

今回3種類のRNAサンプルを検証に用いました。
3種類のRNAサンプルの吸光度をThermo Scientific™ NanoDrop™微量分光光度計で 測定した結果、以下のような吸光度スペクトルが確認できました。

図1. 3種類のRNAサンプルの吸光度情報

図1. 3種類のRNAサンプルの吸光度情報

吸光度スペクトルの情報から、これらの3種類のRNAサンプルは夾雑物が含まれない、「質」の高いRNAサンプルであることが確認できました。

電気泳動によるRNAサンプルの「質」評価

RNAサンプルは電気泳動することで、rRNAである18S、28Sをバンドとして確認できます。18S、28Sのバンド評価および低分子領域のスメア評価によってRNA分解度の定性的な評価が可能です。なお、28Sおよび18Sが2:1の割合で明確なバンドが確認できるサンプルが一般的に分解を受けていない「質」の高いRNAサンプルとされています。

今回はInvitrogen™ E-gel™ PowerSnap電気泳動装置とInvitrogen™ E-gel™ EX 1% Agarose precast gelを用いて泳動を行いました。

図2. 電気泳動によるRNAサンプルの「質」評価

図2. 電気泳動によるRNAサンプルの「質」評価

電気泳動の結果、RNAサンプル1は分解を受けていない「質」の高いRNAサンプルと評価できました。一方でRNAサンプル2は28Sと18Sのバンド輝度が同程度であることから、28Sが分解を受けている可能性が考えられます。
RNAサンプル3は28Sのバンドが消失し、低分子領域にスメア状のバンドが複数確認されることから、高度に分解を受けたRNAサンプルであることが予想されます。

次にこれらのRNAサンプルについてアジレント社バイオアナライザを用いて評価した結果を以下に示します。

図3. バイオアナライザによるRNAの「質」評価

図3. バイオアナライザによるRNAの「質」評価

バイオアナライザによる評価の結果、電気泳動での評価と同様の結果が定性的に得られました。つまり今回用いた3種類のRNAサンプルは分解度が異なるサンプルであったことがわかります。

吸光度スペクトル情報とRNA分解度評価

今回用いた3種類のRNAサンプルは、吸光度スペクトルから3種類ともに夾雑物を含まない「質」が高いRNAサンプルであると評価されましたが、実際は分解程度が異なるRNAサンプルでありました(図4参照)。

図4. 吸光度スペクトルと電気泳動・バイオアナライザの結果比較

図4. 吸光度スペクトルと電気泳動・バイオアナライザの結果比較

RNAサンプルはヌクレオチド単位に分解を受けていても、核酸の最大吸収波長である260 nmの吸光度には影響を及ぼすことはありません。
結果としてNanoDrop微量分光光度計で測定可能な吸光度スペクトル情報からは、分解度の「質」について評価することはできませんでした。

最後に今回の測定サンプルは、以下のようなサンプルから抽出したRNAとなります。
RNAサンプル1:培養細胞から抽出したTotal RNA
RNAサンプル2:動物組織から抽出したTotal RNA
RNAサンプル3:市販されている豚肉から抽出したTotal RNA

まとめ

今回は分解の程度が異なる3種類のRNAサンプルの吸光度スペクトルへの影響について確認しました。吸光度による核酸サンプルの「質」の評価は、特異的な吸光度を有する夾雑物の存在を確認する際には有効ですが、分解した核酸の評価には適さない評価法であることがお判りいただけたかと思います。
分解による「質」を評価する場合、吸光度での評価ではなく、電気泳動などによる評価法と併用して、核酸の「質」を多面的に評価いただければと思います。

このシリーズではNanoDrop微量分光光度計による吸光度測定に関わる情報やTipsをご案内していく予定です。以下リンクより「NanoDrop」に関連するブログ記事をご覧いただけます。
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/tag/nanodrop/

NanoDropご利用のお客様へ
Webサイトのリソースページ(thermofisher.com/jp-nanodrop-setup)には、How-to動画などNanoDrop One / OneCに関する様々なお役立ちコンテンツを掲載しています。
併せてご参照ください。
またNanoDrop微量分光光度計シリーズにご興味のユーザーさまは以下リンクよりデモのご依頼も可能ですのでご活用いただければと思います。

お問い合わせはこちら

連載NanoDrop道場

第1回 吸光度測定による夾雑物の影響を考えよう!
第2回 いろいろな核酸サンプルの吸光度を測定しよう!~PCR産物~
第3回 いろいろな核酸サンプルの吸光度を測定しよう!~cDNA産物~
第4回 いろいろな核酸サンプルの吸光度を測定しよう!~分解産物~
 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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