こんな方におすすめ
- 製薬業界で薬品の品質管理に取り組んでいる方
- 品質保証のためのワークフローをお探しの方
- 元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)について深く理解したい方
- 第十八改正日本薬局方(日局18)とは何か知りたい方
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元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)と第十八改正日本薬局方(日局18)のための元素不純物管理
平成27年9月30日付けで厚生労働省医薬食品局より発行された医薬品の元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)に従い、平成29年4月1日以降に承認申請される新医薬品に対しては、元素不純物ガイドラインに準じた元素不純物の分析と管理が必要になりました。
また、令和3年6月公示予定の第十八改正日本薬局方(日局18)において追加された通則34には、元素不純物管理について規定が明示されており、製薬業界全体として元素不純物に対する適切な管理および分析の重要度は大きくなってきています。
本記事では、ICH Q3Dと日局18について詳しくご説明し、適切な分析方法や分析装置についてご紹介します。
元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)とは
ICH Q3Dとは、ICH(医薬品規制調和国際会議)という組織が作成した、医薬品に含まれる元素不純物管理のためのガイドラインです。ICHは、グローバル化する製薬業界の品質や有効性、安全性を統一した基準で管理するため、1990年代に発足した日本・米国・ヨーロッパの各医薬品規制当局と業界団体が集まって作られた組織であり、医薬品の品質管理のためのガイドラインを作成しています。
ICH Q3D以外にも、さまざまなトピックとガイドラインが公開されているのですが、その中でもICH Q3Dは元素分析装置が必要になるため、注目されているガイドラインと言えます。
第十八改正日本薬局方(日局18)とは
第十八改正日本薬局方は厚生労働省が2021年6月公示(予定)する、医薬品の規格基準書です。通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法および医薬品各条から構成されており、これらを遵守しなければ、新薬として認可されません。
今回の記事で取り上げている元素不純物に関連するのは、2021年6月の段階で最新の日本薬局方改正(日局18)で追加された、以下の部分です。
「通則34 日本薬局方の製剤は、原則として一般試験法の元素不純物に係る規定に従って適切に管理を行う、また、製剤、原薬及び添加剤などにおいて、当該管理を行った場合には、医薬品各条などで規定された重金属,ヒ素など元素不純物の管理は要しない。」
こちらの文中で記載されている「一般試験法の元素不純物に係る規定」が元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)となります。
ICH Q3Dと日本薬局方通則34への対応
ICH-Q3Dには、製剤中の元素不純物を特定および評価し、管理方法を設定するためのリスクに基づくアセスメントの方法が定められています。これには、製剤中の潜在的元素不純物だけではなく製剤の各構成成分(原薬、添加剤、容器施栓系)から混入する潜在的元素不純物に対しての管理も含まれているため、日本薬局方通則34に対応するためには、薬品だけでなく製造過程に対しても管理を徹底することが求められます。
具体的には、以下の設定PDE値(1日当たりの医薬品製剤中に含まれる元素不純物の最大許容摂取量)を遵守することが必要です。
これらの不純物元素を評価する分析機器として、ICP-OESやICP-MSが挙げられます。どちらも多元素を一斉に評価できるだけではなく、比色法や原子吸光法と比較すると高感度測定が可能です。以下のような特徴の違いがありますので、適した分析装置を選択してください。
- ICP-OES:誘導結合プラズマ発光分光分析装置
- 直線性と広いダイナミックレンジ、高いマトリックス耐性、分析速度の向上が期待できる。
- ICP-MS:誘導結合プラズマ質量分析装置
- もっとも感度の高い元素分析法の一つであり、周期表のほとんどの元素を分析できるが、試料の作製と導入を慎重に実行する必要がある。
ご参考のためにICH Q3Dに対応した当社の分析装置とソフトウエアについてまとめた資料を用意しましたので、以下のリンクよりダウンロードしてください。
元素不純物ガイドライン(ICH Q3D)に対応するための元素分析装置
また、ガイドラインに定められた基準値を守るためには、製造過程において紛れ込む元素不純物にも目を光らせる必要があります。たとえば以下のようなポイントです。
- 実験室において容器材料から移行する化合物や、特定の保管条件や使用条件において製品へ移行する化合物(医薬品接触・密閉材料)
- ポリマー接触栓システムから移行する揮発性物質
- ポリマー添加物およびモノマーから移行する不揮発性物質
こちらの分析ワークフローの詳細について、解説資料をご用意しました。ぜひ、以下のリンクからダウンロードしてみてください。
公示が間近に迫った第十八改正日本薬局方へのご対応にお悩みの方のお役に立つことができれば幸いです。
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