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リアルタイムPCRの解離曲線でみられる問題点
みなさんは、リアルタイムPCR (qPCR )の解離曲線(融解曲線)において、複数のピークを目にしたことがあるでしょうか? 下図は、一般的なSYBR Greenマスターミックスによって得られた解離曲線データです。
ご覧のとおり、ターゲットの86.7℃のメインピークのほかに複数のピークが確認できます。
しかし、ここで結果として見えてほしいのは、DNA由来増幅産物から得られる“ひとつの明確なピーク”です。なぜなら、qPCRの解離曲線において複数のピークが観察されるということは、2つ以上の目的以外のPCR産物が増幅されたことを示唆するからです。
※詳細については、3分で分かる動画も公開していますので、ぜひご覧ください。
では、そもそもなぜ目的以外の増幅が生じてしまったのでしょうか?
考えられる主な要因として、以下の2点が挙げられます。
- プライマーの非特異的な結合
- プライマーダイマー等の形成
対処方法には、温度条件変更やプライマーの再設計などいくつか対処方法がありますが、反応系の最適化に多くの時間や手間を要します。そこで今回は目的外の増幅を抑えることができる、新型のSYBRベースマスターミックス、Applied Biosystems™ PowerUp™ SYBR™ Green Master Mixについて紹介します。
PowerUp SYBR Green Master Mixの特徴とは?
下図はPowerUp SYBR Green Master Mixと他社製品について、非特異的な増幅であるプライマーダイマー等の形成に着目し、性能を比較した結果です。テンプレートDNAを含まない状態でqPCRを行ったところ、他社製品(他社ミックスT1&T2)では高確率でプライマーダイマー由来と考えられる増幅が生じていますが、PowerUp SYBR Green Master Mixではほとんど目的以外の産物が検出されませんでした。
このことから、PowerUp SYBR Green Master Mixはプライマーダイマー等由来の非特異的増幅を防ぐのに適したマスターミックスだといえるでしょう。他にも、特徴的な機能がありますので、詳細はこちらをご覧ください。
- 28種のプライマーセットを使用し、テンプレートDNAの代わりにNuclease Free Waterを添加し測定(n=3)
- 増幅したウェルの陽性率およびCt値を算出し評価
- Ct値が低いほど増幅が早く実際の定量値に影響を与えやすい
「見える」マスターミックスがピペッティングエラーを低減 着実に実験を進めるためのPowerTrack SYBR Green Master Mix の特徴とは?
当社には他にも特徴あるSYBRマスターミックスがございます。Applied Biosystems™ PowerTrack™ SYBR™ Green Master Mix には、どのウェルまでピペッティング操作を行ったかを可視化する 2色のトラッキング用色素が含まれています。マスターミックスに青色の色素が、サンプルバッファに黄色の色素がついており、混ざると緑色に変化するため、添加時の操作を目視で確認でき、入れ忘れや入れ間違い等の操作エラーを最小限に抑えます。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。