Thermo Fisher Scientific

  • メニュー
    • 分子生物学実験関連
    • 分析・測定関連
    • 細胞培養・イメージング
    • 研究者インタビュー
    • その他
  • このブログについて
  • お問い合わせ
Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / ウェスタンブロッティングにおけるストリッピング法とリプロービング法|知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第6回

ウェスタンブロッティングにおけるストリッピング法とリプロービング法|知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第6回

Written by LATB Staff | Published: 03.04.2020

▼もくじ [非表示]

  • はじめに
  • メンブレンのストリッピングとリプロービング
  • ストリッピングの利点
  • ストリッピングの確認
  • 最後に
  • 【無料ダウンロード】タンパク質解析ワークフローハンドブック

はじめに

ウェスタンブロッティングでは、検出感度が高くてもノイズが高いと適切な検出が行えません。検出のS/N比* を最適化することは、検出感度を上げることよりも重要です。S/N比を改善する有効な方法のひとつは抗体濃度を至適化することです。

ウェスタンブロッティングでS/N 比が高いために望み通りの結果が得られず、抗体濃度を変更してもう1度検出する場合、電気泳動からやり直すと時間とコストがかかってしまいます。また、1度検出に使ったメンブレン上で別の抗原タンパク質の検出を行いたい場合でも同様の手間がかかります。今回ご紹介するストリッピングとリプロービング法を用いることで、一度化学発光検出したメンブレンから、簡便に抗体濃度や抗体の種類を変更して再度ウェスタンブロッティングを行うことができます。

* S/N(Signal-to-Noise)比とは、もともと雑音の強さ(ノイズ)に対する音声信号の強さ(シグナル)の割合を表す用語で、ウェスタンブロッティングでは、シグナルについてはプローブ(抗体)が特異的に結合しているタンパク質バンドに由来する発色・発光・蛍光の強度を意味し、ノイズについてはバックグラウンドの強さを意味します。

メンブレンのストリッピングとリプロービング

メンブレンにトランスファーされたタンパク質と抗体(その他のプローブ)との間のアフィニティー結合を切断して抗体(その他のプローブ)や検出試薬を取り除くこと(ストリッピング)ができれば、同じメンブレンを利用して再び検出を行うことが可能になります。そのためには、このアフィニティー結合の切断が十分行えるだけの条件が必要になります。しかし、このストリッピングの条件が強すぎると、メンブレン上のタンパク質(抗原)に与えるダメージが大きく、再び同じ抗体でプロービングする場合に、より高濃度の抗体が必要になる場合や、抗体濃度が高くても十分反応せずに検出ができなくなる場合があります。

ストリッピング反応の条件は、一般的に界面活性剤や還元剤、pH条件、加熱操作の有無を検討して行います。メンブレンからの抗原の損失や抗原が受けるダメージについてはある程度は避けられませんが、メンブレン上の抗原にできる限り影響を与えずにストリッピングするために、可能な限り温和な条件を用います。サーモフィッシャーサイエンティフィックでは、穏やかな条件で短時間にストリッピングを行うための製品Restore Western Blot Stripping Bufferをご用意しています。また、特に抗原タンパク質とのアフィニティーが高い抗体の除去用にはRestore PLUS Western Blot Stripping Bufferをご用意しています。

protein-basic6-fig

図 ストリッピングの手順

 

ストリッピングの利点

  • 貴重なタンパク質サンプルの節約:貴重な(あるいは少量しかない)タンパク質サンプルを再度電気泳動することなく、前の実験と同じ抗体や異なる抗体を用いて検討できます。
  • 時間の節約:抗体の条件検討や他の抗原検出を行う際に、電気泳動やメンブレンへのトランスファーに時間をかける必要がありません。
  • 条件検討が容易:検出感度の高い化学発光基質を利用する場合、抗体濃度の至適化に手間がかかることがありますが、ストリッピングを行うだけで抗体濃度の検討が行えるため負担が少なくなります。
  • コストダウン:ゲル、メンブレン、バッファーのほかタンパク質サンプルにかかる費用を抑えられます。

ストリッピングの確認

ストリッピングによる抗体の除去を確認するためには、メンブレンを洗浄バッファーまたはブロッキングバッファーで数回洗浄した後、化学発光基質を反応させます(図:確認テストA)。HRP標識二次抗体がストリッピングによって除去されていれば、化学発光基質でシグナルは検出されません。バンドが検出される場合は、ストリッピングの条件を強くし、抗体をさらに除去します。このテストは手軽に行えますが、バンドが確認されない場合でも一次抗体が十分除去されていない可能性や二次抗体のHRPが失活しただけで二次抗体の除去すらされていない可能性もあります。そこでより確実には、洗浄後のメンブレンを二次抗体および化学発光基質と反応させます(図:確認テストB)。一次抗体がストリッピングによって除去されている場合、二次抗体はメンブレンに結合しないのでシグナルが検出されません。バンドがメンブレン上に依然として認められる場合は、ストリッピングの条件を強くし、抗体をさらに除去します。通常、反応時間を延長するか、温度を高くすることでストリッピングが改善されますが、それでもバンドが認められる場合は、ストリッピングバッファーの組成を変更する必要があります。

最後に

ストリッピング処理は、化学発光基質を用いたウェスタンブロッティングや蛍光標識プローブを用いたウェスタンブロットに対してリプロービングを行う場合に有用ですが、発色基質を用いたウェスタンブロットでは利用できません。これは発色基質の場合、メンブレン上に色素を沈着するためバッファーによる洗浄除去ができないからです。Restore Western Blot Stripping BufferやRestore PLUS Western Blot Stripping Bufferは化学発光基質用のストリッピングバッファーです。蛍光標識プローブを用いたウェスタンブロットには、Restore Fluorescent Western Blot Stripping Bufferがお使いいただけます。

【無料ダウンロード】タンパク質解析ワークフローハンドブック

効率的なタンパク質抽出からウェスタンブロッティングの解析ツールまで、包括的にソリューションを紹介しております。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申込みください。

ダウンロード

 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

Share this article
FacebookTwitterLinkedinMail

記事へのご意見・ご感想お待ちしています

  • サーモフィッシャーサイエンティフィックジャパングループ各社は取得した個人情報を弊社の個人情報保護方針に従い利用し、安全かつ適切に管理します。取得した個人情報は、グループ各社が実施するセミナーに関するご連絡、および製品/サービス情報等のご案内のために利用させていただき、その他の目的では利用しません。詳細は個人情報の取扱いについてをご確認ください。
  • 送信の際には、このページに記載のすべての注意事項に同意いただいたものとみなされます。

【やってみた】時間をおいて発色後のELISAプレートを測定してみた

ELISAは抗原分子を感度良く定量的に測定でき�... by LatB Staff / 01.08.2025

Read More

シーケンス解析のトラブルシュート:ノイズピークと二重ピーク

シーケンス解析で、ノイズピークが検出され... by LatB Staff / 12.04.2024

Read More

【やってみた】ウェスタンブロッティングの化学発光が機能しているか確かめたくて、光らせてみた

ウェスタンブロッティングは、特定のタンパ... by LatB Staff / 10.16.2024

Read More

定量ウェスタンブロッティングにおけるノーマライゼーションの過去と未来 -2024年版-

ウェスタンブロッティングは何百種類ものタ... by LatB Staff / 08.15.2024

Read More
フーリエ変換型質量分析Orbitrapの基礎 ~HRAM定量の魅力とは~
siRNAとmiRNAの違いは何?RNA干渉(RNAi)に関する基礎知識

個人情報保護方針ウェブサイト利用条件 拠点一覧サイトマップTrademark Information

© 2025 Thermo Fisher Scientific. 無断複写・転載を禁じます.

Talk to us

通知

  • Tweet
  • Facebook
  • Tweet
  • Facebook