レポーター遺伝子アッセイとは
レポーター遺伝子とは、トランスフェクション後の遺伝子産物のアッセイを容易にするための遺伝子で、成功的に導入された細胞の選別や遺伝子発現調節の研究のためのマーカーとして、あるいはトランスフェクション効率の標準化のためのコントロールとして使用されます。理想的なレポーター遺伝子は、その研究で使用される細胞に含まれないか、天然型の遺伝子と容易に識別可能な遺伝子であり、簡便にアッセイ可能で、広範囲でリニアな検出範囲を持つものです。また、レポーター遺伝子の存在が導入された細胞の正常な生理機能や全般的な健康状態に影響しないことは重要です。
レポーター遺伝子は、構成的に発現するか、あるいはβ-ガラクトシダーゼシステムにおけるIPTGの誘導のような外的介入によって誘導的に発現します。一般的に、レポーター遺伝子アッセイはトランスフェクションの1~3日後に行いますが、アッセイの最適な時期は実験によって経験的に決定しなければなりません。
トランスフェクションアッセイ
選択マーカーは一般的に細胞死や成長阻害を導く選択用試薬から生体を保護するのに対し、レポーター遺伝子はレポーター遺伝子を含む細胞を視覚的に識別することを可能とすることによって形質転換体をスクリーニングするために用いられます。レポーター遺伝子はこのように用いられ、通常目的の導入遺伝子とは別のそれ自身のプロモーターのもとで発現し、目的遺伝子がある特定の条件下あるいはアクセス困難な組織でしか発現しない場合でも、成功的に導入された細胞をスクリーニングすることを可能とします。
レポーター遺伝子はトランスフェクションのコントロールとしても使用できます。例えば、全ての実験で用いられたレポーター遺伝子の発現レベルを比較することによって異なる実験間のトランスフェクション効率を標準化できます。
遺伝子調節アッセイ
レポーター遺伝子アッセイは、cis活性化因子(遺伝子調節要素)およびtrans活性化因子(転写因子または外的調節因子)の両方による遺伝子発現調節に関する研究用として有益です。さらに、レポーター遺伝子システムは、パスウェイ特異的、組織特異的、あるいは特定のイベントプロセスのためのバイオマーカーとしての発生調節遺伝子プロモーターの使用を可能とします。
これらのアッセイにおいて、検出可能なレポーター遺伝子は、研究中の遺伝子のコーディング領域の代替として機能します。レポーター遺伝子コンストラクトには、1つまたは複数の解析すべき遺伝子調節要素、レポーター遺伝子の配列、および機能的mRNAの転写に必要とされる配列が含まれます。レポーターコンストラクトを細胞に導入すると、レポータータンパク質酵素活性の直接的アッセイを介してレポーター遺伝子の発現レベルがモニターされます。
一般的なレポーター遺伝子
一般的に用いられている視覚的に識別可能な特性を誘導するレポーター遺伝子は、通常蛍光タンパク質および発光タンパク質を発現します。
緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現している細胞は、UV光下で緑色に光ります。個々の細胞を識別するためには特殊な顕微鏡が必要とされます。黄色および赤色の蛍光タンパク質も利用可能なため、1度に複数の遺伝子を解析できます。通常遺伝子発現の定量に用いられます。
ルシフェラーゼは、研究用試薬としては多くの場合、ホタル種P. pyralisルシフェラーゼを指しますが、他に数種のホタル種の組換えルシフェラーゼも市販されています。ルシフェラーゼ酵素は、基質(通常、ルシフェリン)と反応して、ルシフェラーゼ遺伝子に依存して黄緑色や青色の光を発生します。ルシフェラーゼ生物発光は光励起を必要としないため、自己蛍光が最小限に抑えられ、実質的にバックグラウンドフリーとなります。
GUS アッセイ(β-グルクロニダーゼを使用)は、複雑な装置を全く使用せずに単細胞を青色に染色することによって検出する優れた手法です。欠点は、処理中に細胞が死滅することです。植物科学において特に一般的な手法です。
青白スクリーニングは、細菌および真核細胞で使用されます。細菌のlacZ遺伝子はβ-ガラクトシダーゼ酵素をコードします。一定のガラクトシド(例:X-gal)を含む培地を添加すると、lacZ遺伝子を発現している細胞ではX-galが青色の生成物に変換され、肉眼で確認できます。
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