
図1:SeqStudio Genetic Analyzer
遺伝子解析の基本手段の一つは、DNAの塩基配列を決定すること(DNAシーケンシング)です。現在はキャピラリー電気泳動システムを用いたシーケンサーでの解析が主流です。キャピラリーシーケンサーを使用するためには、毎日・毎週・毎月の定期的なメンテナンスが必須ですが、メンテナンスの手間がかからない装置を望んでいる方が多くいらっしゃいます。
そこで今回は、メンテナンスがほとんどいらない、新型キャピラリーシーケンサーApplied Biosystems™SeqStudio™ Genetic Analyzer をご紹介いたします。
▼こんな方におすすめです!
・キャピラリーシーケンサーの購入をご検討されている方
・メンテナンスの手間を省いたシーケンサーに興味がある方
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これまでのキャピラリーシーケンサーのメンテナンスとは?
弊社の従来のキャピラリーシーケンサーに必要な装置側の消耗品とそれぞれのメンテナンスは以下の通りです。
①キャピラリー:
使用状況に応じ、数か月ごとに交換します。
交換後は「キャリブレーション」と呼ばれるメンテナンスが必要になります。
②ポリマー:
1週間や2週間ごとに交換します。
室温状態では徐々に劣化が進み、DNAの分離が上手く行えなくなります。
③陽極バッファ:
10X濃度のバッファを1Xに希釈し、毎日交換します。
④陰極バッファ:
10X濃度のバッファを1Xに希釈し、毎日交換します。
さらに、キャピラリーの中にポリマーを充填するための機構:⑤ポンプブロックの定期的な洗浄も必要です。
このように従来のキャピラリーシーケンサーでは、消耗品が複数あり、メンテナンスに1時間~半日程度かかってしまうものでした。
複数の消耗品がオールインワンとなった革新的なカートリッジ

図2:カートリッジ
SeqStudioでは上記のうちの4点(①キャピラリー、②ポリマー、③陽極バッファ、⑤ポンプブロック)を組み込んだオールインワンの「カートリッジ」を使用します。
装置から古いものを取り出し、冷蔵庫から取り出した新しいカートリッジを装置に差し込むだけのわずか2分で消耗品の交換とメンテナンスを完了できます。
カートリッジは装置にセットした状態で、最長4か月間(*)そのまま使用することが可能ですので、消耗品ごとの使用期限を気にする必要はありません。
*製品番号A33671(125インジェクション)は4か月、製品番号A41331(250インジェクション)は6か月使用可能

図3:メンテナンス操作
さらに、カートリッジ内の各部品それぞれに下記のような要素が詰め込まれており、メンテナンスを格段に簡易にします
①キャピラリー:設置後の「キャリブレーション」の実施が不要
②ポリマー:装置に取り付けたまま4か月間使用可能
③陽極バッファ:希釈調製が不要
⑤ポンプブロック:定期的な洗浄が不要
また、カートリッジとは別に④陰極バッファを装置にセットする必要があります。
しかし、試薬調製済みのバッファが分注されているコンテナをセットするだけですので、こちらも2分程度でメンテナンスを終えることができます。

図4:陰極バッファコンテナ
陰極バッファは装置にセット後、2週間そのまま使用することが可能ですので、交換頻度が低くなり、非常に簡単になっています。
SeqStudioのメンテンナンスは上記2つの消耗品(カートリッジと陰極バッファ)を交換するだけです。
装置に 差し込むだけ/設置するだけ で交換できますので、それぞれ2分程度しか時間がかからないのが、メンテナンスが簡単になったポイントです。
メンテナンス以外にもお手軽要素がたくさん!
SeqStudioはメンテナンス以外にも使い易くなっているポイントがあります。
・ランのセットアップが簡単
装置本体のモニタがタッチパネルのため、スマートフォンを操作する感覚で、簡単にランのセットアップを行えます。

図5:セットアップ画面
・新たな接続性の獲得
ワイヤレス接続を導入したため、クラウド(Thermo Fisher Connect)を利用することで、ランのモニタリングやランデータの確認などを遠隔で行うことができます。

図6:新たな接続性
また、従来機と同様に、DNAシーケンシングだけでなく、フラグメント解析も行えますので、さまざまなアプリケーションに対応したシステムと言えます。
まとめ
・SeqStudioは消耗品がオールインワンのカートリッジと陰極バッファの2つのみ!
・SeqStudioのメンテナンスは古くなった消耗品を乗せ換えるだけで簡単、時短!
・SeqStudioはお手軽要素が豊富!
SeqStudioにご興味をお持ち頂けましたら、下記動画でさらにイメージを膨らませていただけます。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。