朝、研究室に行ってLBプレート確認したところ、
コ、コロニーが生えてない。。。
なんて体験をしたことはないでしょうか?
生えているはずのコロニーが生えなかった時は、朝から実験のやる気がそがれてしまいますよね。
大腸菌の形質転換がうまくいかないのには、多くの理由があります。
そこで今回は、大腸菌の形質転換について、うまくいかない原因6つとその対策をまとめましたので、形質転換がうまくいかなかった際の参考にしてください!
▼もくじ
そもそも形質転換とは?
形質転換(トランスフォーメーション)は、細菌細胞に外部から遺伝子を導入して菌の遺伝的形質を変えることを意味し、別名、形質導入とも呼ばれています。
このプロセスは、目的の遺伝子をサブクローニング(あるプラスミドの断片を、別のプラスミドに組み込むこと)した後、大腸菌を利用してターゲットDNA断片を含んだプラスミドを増やすために行います。
尚、形質転換後は、主に下記のような流れで実験が行われます。
- 増幅した大腸菌からプラスミドを精製する
- 培養細胞等にトランスフェクション(動物細胞に対しての遺伝子導入)する
- 目的のRNAやタンパク質を培養細胞等内で産生させる
したがって、形質転換でつまずいてしまうと、後の実験がスムーズに進みにくくなってしまうのです。
では、何が原因で形質転換がうまくいかないのでしょうか?
うまくいかない原因その1: DNA中の不純物
ケミカルコンピテントセルの場合、フェノール、タンパク質、界面活性剤、エタノールをDNA溶液から取り除きます。エレクトロコンピテントセルの場合、塩とバッファーがエレクトロポレーションを著しく阻害し、アーク放電のリスクを増加させます。プラスミドDNAをエタノール沈殿により精製し、滅菌水または0.5X TE(5 mM Tris-HCl、0.5 mM EDTA)に溶解するのがお勧めです。
うまくいかない原因その2: 過剰なDNA量、過剰な液量
100 µlのケミカルコンピテントセルあたり、1〜10 ngのDNAを添加し、添加するDNAの容量は5 µlを超えないようにします。エレクトロコンピテントセルでは、1 µl(1~50 ng)のDNA溶液を20~25 µlのセルに添加してください。
うまくいかない原因その3: ライゲーション反応液による形質転換の阻害
ライゲーション反応混合液をコンピテントセルに加える前に、可能であれば10 mM Tris-HCl(pH 7.5)、1 mM EDTA溶液、あるいは蒸留水で5倍程度に希釈してください。
うまくいかない原因その4:コンピテントセルの不適切な取扱い
コンピテントセルは-80°Cにて保管してください。コンピテントセルを液体窒素に保存しないでください。凍結融解の繰り返しはできるだけ避け、未使用のコンピテントセルは分注して、再凍結してください。形質転換時には氷上でコンピテントセルを融解し、直ちに使用してください。ボルテックスはしないでください。
うまくいかない原因その5: 大腸菌の成長が遅い、もしくは成長しない
37°Cではなく30°Cで大腸菌を培養する場合、回復時間を少なくとも90分に延長し、形質転換したコロニーの培養時間も長くしてください。
うまくいかない原因その6: 抗生物質(アンピシリンやカナマイシンなど)による選択が不適切
正しい抗生物質を正しい濃度で使用していることを確認してください。製品マニュアルで推奨している使用方法を参照してください。
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