キャピラリー電気泳動によるサンガーシーケンスとフラグメント解析は、正確性が高く信頼できる結果を得ることができます。


キャピラリー電気泳動(CE)を用いた核酸の解析は、サンガーシーケンスとフラグメント解析の2つの方法が可能です。どちらも、サンプルから解析結果までのワークフローがシンプルで、迅速で高精度な配列解析が可能です。


サンガーシーケンス

1塩基の分解能で測定できるので、正確な配列解析が可能なゴールドスタンダード技術です。ターゲットシーケンスや配列確認のための解析に最適です。

サンガーシーケンスがさまざまなアプリケーションをどのようにサポートしているのかをご覧ください:

サンガーシーケンスハンドブックをダウンロードする ›
シンプルなサンガーシーケンスワークフローを見る ›


フラグメント解析

4ステップで効率的に病原体、変異体、SNP、またはサイズ解析のマルチプレックス検出が可能です。

フラグメント解析アプリケーションでDNA解析をさらに発展させることができます:

フラグメント解析アプリケーションガイドをダウンロードする ›
4ステップのフラグメント解析ワークフローを見る ›


遺伝子解析のための機器とキット
 

Applied Biosystemsのキャピラリー電気泳動製品は、サンガーシーケンスおよびフラグメント解析のためのエンドツーエンドのワークフローソリューションを提供します。これらにはジェネティックアナライザ(遺伝子解析機器)、試薬、ソフトウェアが含まれます。 


キャピラリー電気泳動アプリケーション  
 

Blue ATGC pattern with human head and DNA pattern

臨床研究のためのアプリケーション

サンガーシーケンスおよびフラグメント解析は、臨床研究のさまざまなステージにおいて役立つ、基礎アプリケーションです。

Vial containing DNA helix

mRNA製造 品質管理

シーケンスの確認は、mRNA医薬品やワクチン製造において重要です。シーケンスの確認を正確に行うために、サンガーシーケンスが役立ちます。

DNA helix with portion pulled out

遺伝子編集の確認

CRISPR、TALEN、プライム編集などのゲノム編集技術の遺伝子型検証には、サンガーシーケンスおよびフラグメント解析アッセイが最適です。

Blue cell image

細胞株認証

ショートタンデムリピート(Short Tandem Repeat、STR)を利用したジェノタイピングは、ヒト細胞株認証の検証、保存されているヒト組織および体液サンプルの品質管理、および既知の混合サンプルの特性の評価における重要なツールです。

その他のキャピラリー電気泳動アプリケーション

CRISPR-Cas9システムなどによるゲノム編集技術は、多くの生物学研究者が利用可能な技術として急速にその使用が広がっており、生物学およびヘルスケアのあらゆる分野に革新をもたらしています。当社ではゲノム編集プロジェクトに必要な多くのツールを提供しています。SeqStudio Genetic Analyzerは、このようなプロジェクトに不可欠で、サンガーシーケンス解析を簡単に実施することができ、ゲノム編集ワークフローに適合です。特に、得られたデータは、ゲノム編集イベントの効率を評価するツールとしてよく利用されているTracking of Indels by Decomposition(TIDE)ソフトウェアと互換性があります。。

ゲノム編集プロジェクトにおけるSeqStudio Genetic Analyzerの有用性を実証するために、HPRTまたはrelA遺伝子座中の標的部位付近にランダムな欠失を導入するよう編集したHEK293細胞から全細胞溶解物を入手しました。編集部位を確認するためにサンガーシーケンスデータをクラウドにアップロードし、Sanger Variant Analysisモジュールで解析しました (図1)。編集された位置が明確に示されており、切断された位置の下流には多くの混合塩基のピークがあることで可視化できることに注目してください。この混合された初代培養細胞での編集の効率は、TIDEソフトウェアを用いてこれらのトレースファイルを解析することによって評価しました。いずれの場合も、フォワードとリバースで作成したデータを使用した場合、各遺伝子座における欠失の領域と頻度はほぼ同じであった(図2)。これらの頻度は、InvitrogenブランドのTOPOクローニングによって得られた結果と、同じ編集が施された細胞のサンガーシーケンス結果と一致していることで裏付けられています。

COL04030-FIgure-5a
図1.SeqStudio Genetic Analyzerによるゲノム編集サンプルの解析ヒトHPRT遺伝子座においてゲノム編集を行った細胞の混合集団を、クラウド対応のSanger Variant Analysisアプリを用いて解析した。このアプリは、順方向鎖と逆方向鎖の両方に共通する一塩基変異体を検出するだけでなく、ゲノム切断がどこで起こったかを検出することもできます。切断点の下流(この例では右側)に混合配列の集団を作り出すことに注目してください。

A

COL04030-Figure-5b-HPRT-strand

B

COL04030-Figure-5b-relA-strand

図2.TIDEソフトウェアとSeqStudio Genetic Analyzerで得られた混合集団シーケンスデータを使用したHPRT遺伝子座とrelA遺伝子座における2つの異なるゲノム編集イベントの解析棒グラフは、それぞれのヌクレオチドが欠失または挿入された集団の割合を示しています。(A)のHPRTでは、編集効率は全体で約80%であったのに対し、(B)のrelA遺伝子座では全体で約20%であった。

DNAメチル化は、CpGジヌクレオチドモチーフのシトシン塩基(5-meC)の5位の炭素にメチル基を付加するエピゲノム修飾です。これらのメチル化部位はDNA認識タンパク質の結合に影響を与える可能性があり、関連する遺伝子の転写が変化することがよくあります。異常なDNAメチル化パターンは、さまざまな種類のがんで観察されており、これらの変化は、早期発見、予後、治療への反応のための重要なバイオマーカーとして役立ちます。さらに、DNAメチル化のパターンを理解することで、神経発達障害、心血管疾患、自己免疫疾患などの他の病態に関する貴重な洞察を得ることができます。そのため、メチル化されたDNAパターンの解析は、特にがんの研究と診断の分野で臨床的に大きな影響を与えます。

DNAメチル化研究における一般的なサンプルタイプには、リキッドバイオプシーや、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルなどがあります。FFPEサンプルから抽出された核酸は劣化しているため、FFPEサンプルを扱うことは困難ですが、アーカイブFFPEサンプルやリキッドバイオプシーサンプルを使用すると、有用なバイオマーカーの特定に役立ちます。

サンガーシーケンスは25年以上にわたり5-meC検出のゴールドスタンダードであり、最大400ヌクレオチドの短いゲノムDNA(gDNA)領域に沿った複数の部位で5-MECを検出することを可能にします。DNA中の5-meCを検出するもっとも広く用いられている方法は、gDNAのバイサルファイト処理です。Methyl-Seq Directワークフローは、BigDye Direct (BDD) Cycle Sequencing KitとBigDye XTerminatorをシーケンスおよび精製に使用する、バイサルファイトシーケンスの新しい手法です。バイサルファイト変換、PCR増幅、DNAシーケンスを含むワークフロー全体の所要時間は、約1時間のハンズオンタイムを含めて約7時間かかります。このワークフローはFFPEサンプルと互換性があるため、腫瘍学やその他の病理学におけるレトロスペクティブな研究にアーカイブされたサンプルを使用することができます。

アプリケーションノート:Methyl-Seq Directワークフロー:DNAメチル化解析のための迅速な方法

FFPE組織から抽出したDNAを用いたプロトコルの実現可能性を実証するために、正常組織および腫瘍組織サンプルを2組処理しました。図1は、正常組織と腫瘍組織の間のメチル化パターンに明らかな変化があることを示している。

Bisulfite_sequencing_sm
 クリックして拡大図1.結腸正常・腫瘍ペアのFFPE DNAを使用したp16遺伝子プロモーターのバイサルファイトシーケンス。(A)正常サンプル、フォワードシーケンス。(B)腫瘍サンプル、フォワードシーケンス。(C)正常サンプル、リバースシーケンス。(D)腫瘍サンプル、リバースシーケンス。数字は、(1)腫瘍サンプルにおける50:50のバランスのとれたメチル化、(2)メチル化に関連しないG>A変異、(3)正常サンプルにおける脱メチル化イベントを示しています。

臨床研究者がリキッドバイオプシーを通じてバイオマーカーを収集・解析する機会が増えていることを考慮し、2番目のアプリケーションノートでは、サンガーシーケンスを用いてリキッドバイオプシー中のDNAメチル化を解析する方法について説明します。この研究では、リキッドバイオプシーサンプルによく見られる断片化DNAからのメチル化検出(陽性または陰性)を可能にするために、より小さなアンプリコンを選択した。

アプリケーションノート:サンガーシーケンスによるリキッドバイオプシー中のメチル化DNAの解析

これらのアプリケーションノートでは、サーモフィッシャーサイエンティフィックから入手可能な試薬、装置、ソフトウェアを使用した、リキッドバイオプシー、細胞株、FFPEサンプルから得られたバイサルファイト変換されたDNAのメチル化解析のためのダイレクトPCRシーケンスワークフローの実現可能性を実証しています。

ヒト疾患の発症に関する研究は、培養増殖させた分化ヒト細胞株の解析に大きく依存している。しかしながら、in vitroで培養された細胞が誤って識別されたり、無関係な細胞株がコンタミネーションしている可能性があることは、ますます認識されるようになってきた問題です。細胞株の同一性の確認は、可変性の高いショートタンデムリピート(STR)の極めて特異的な遺伝的「フィンガープリント」の解析によって検証することができます。SeqStudioプラットフォームは、サーモフィッシャーサイエンティフィックの細胞株認証ソリューションと優れた連携を実現しています。Applied Biosystems Identifiler PlusキットとIdentifiler Directキットはそれぞれ精製されたDNAおよび粗精製DNAの調製に使用でき、細胞株認証の検証に一般的に用いられる16ローカスのヒトSTRを解析することができます。Applied Biosystems GeneMapper Softwareは、Identifilerキットにより同定されたアレルを解析するために用いられ、SeqStudioシステムで生成されたデータと互換性があり、その結果はATCCや他のSTRデータベースに照合して認証を確認するのに使用することができます。

ケーススタディ:CLA Identifiler STRプロファイリングキットを用いたiPS細胞とドナーとの同一性の確認
 アプリケーションノート:Identifilerキットとキャピラリー電気泳動プラットフォームを用いたヒト細胞株の認証
Webセミナー:ヒト細胞株認証のための包括的なワークフロー

細胞株認証のワークフローにおけるSeqStudioシステムの有用性を実証するために、一般的に用いられている5種類のヒト細胞株からSTRに関するアレル情報を取得した。細胞株の同一性は、わずか300 pgのgDNAを用いて確認しました。混在している細胞を検出する能力を明らかにするために、M4A4GFP細胞集団にHeLa細胞をさまざまな割合で添加し、Identifiler Directキットを用いて解析しました。細胞集団中のHeLa細胞の割合がわずか10%でも、HeLa細胞に特異的なアレルが検出できました(図1)。このことから、SeqStudioシステムは、Identifilerキットとの組み合わせにより、細胞株認証ソリューションの重要な役割を果たします。

COL04030-Figure-6-Cell-Line-Contamination

図1.SeqStudio システムでの細胞株コンタミネーションの解析HeLa細胞とM4A4GFP細胞の懸濁液を5 x 105 cells/mLに希釈して、指定の割合で混合した後、NUCLEIC-CARD Sample Collection装置にスポットしました。細胞集団に混在しているHeLa細胞は、その割合が約20%であっても高い信頼性をもってSeqStudioシステムで検出可能でした。わずか10%でも、HeLaに特有のアレルの一部が検出されました。

臨床研究にSeqStudio Genetic Analyzerを導入することで、腫瘍組織中の変異アレルの検出および確認においてゴールドスタンダードの品質を維持することができます。SeqStudioシステムに以下のツールを組み込むことで、サンガーシーケンスワークフローの簡素化が可能です:

  • SeqStudio Genetic Analyzerには、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から抽出したフラグメントDNAに最適化されたランニングモジュールがあらかじめ設定されています。
  • クラウドベースのNGCモジュールは、次世代シーケンス(NGS)で特定した変異(.vcfファイル)とサンガーシーケンスデータを迅速に比較・確認できます。
  • Applied Biosystems Minor Variant Finder (MVF)ソフトウェアとSeqStudioシステムで作成されたサンガーシーケンスデータによって、わずか5%程度のアレル変異が検出できます。
  • Applied Biosystems BigDye DirectケミストリおよびBigDye XTerminatorケミストリは、1チューブでのシーケンスとクリーンアップによってサンガーシーケンスワークフローを簡素化します。

 アプリケーションノート:サンガーシーケンスによる FFPE サンプルにおける低頻度の体細胞変異の検出

SeqStudio Genetic Analyzerの腫瘍サンプル中の変異アレル検出性能を、10種類の異なるFFPE腫瘍サンプルから抽出したゲノムDNAの解析および4つの異なるホットスポット領域における変異頻度の同定によって確認しました。変異アレルの頻度は、Ion Torrent Oncomine Oncology Focus Panelを使用したNGSおよびBigDye Direct/BigDye XTerminatorケミストリとMVF Softwareを使用したサンガーシーケンスで同定しました。SeqStudio Genetic Analyzerで測定したアレル頻度は約9%~70%の間で、NGSとの良好な相関を示しました(図1)。

図1.SeqStudioシステムを用いた9~70%のアレル頻度でのFFPEサンプルの解析10種類の腫瘍サンプルを、Ion Torrent NGSシーケンスとSeqStudioシステムを用いたサンガーシーケンスにより、4つの異なるホットスポットにおける変異を解析した。変異アレル頻度に関して、幅広いアレル頻度の範囲で2つの方法の間で極めて優れた相関を示した。

SeqStudio Genetic Analyzerの変異頻度の解析能力は、KRASおよびNRASにおいてもっとも一般的な発がん性変異を検出するためのサンガーシーケンスプライマーを含む96ウェルプレートを使用して検証されました。SeqStudioシステムによるマイナーアレル頻度の解析により、1 ngのFFPE抽出DNA希釈物でアレル頻度が正確に測定されました(図2A)。以上より、SeqStudio Genetic Analyzerを用いることでFFPE組織由来サンプルで、正確に希少なアレル検出が可能であることが示されました。

さらに、クラウドベースのNGCアプリケーションでは、アンプリコンや検体ごとにサンガーシーケンスのデータが整理し、.vcfファイル内の候補変異シーケンスに適切な方向で整理されることにより、NGSで同定した変異を容易に確認できます。がん研究ワークフローにおけるNGCアプリの有用性を示すために、Oncomine Oncology Focusパネルを使用して特定された NRAS 変異の存在をサンガーシーケンスによって確認しました(図2B)。SeqStudioの結果から、NRAS変異(p.Ala59Thr)の存在を確認することができました。これにより、NGCアプリケーションを用いることでNGSで検出された変異の確認が容易になることが示されました。

A

COL04030-Figure-3B-Analysis-of-FFPE

B

analysis-confirmation-variants

図2.SeqStudio Genetic AnalyzerとNGCアプリケーションによる変異の解析と検証(A)既知のRASホットスポット変異を有する8つのFFPEサンプルをアレル頻度5%に希釈し、KRASおよびNRASにおいてもっとも一般的な発がん性変異のためのサンガーシーケンスプライマーを含む96ウェルプレートとSeqStudio Genetic Analyzerを使用して解析しました。各アレルで正確なアレル頻度が測定されました。5%からの偏差はサンプルの最初の濃度のわずかな差を反映しています。5%の頻度を黄色線で示します。10%および50%の希釈においても同様の結果が得られました。(B)NGSで同定した変異の検証。Ion Reporter Softwareで作成したvcfファイルから、目的の遺伝子座をターゲットとするサンガーシーケンスプライマーをPrimer Designerから注文し、サンプルをSeqStudioシステムでシーケンスし、.vcfファイルとサンガーシーケンスデータに共通な変異をNGSクラウドアプリでハイライトしました。

ゲノムデータが容易に利用できるようになったことで、「フィンガープリント」遺伝子座のDNA配列を確認することで、未知のサンプルに含まれる生物種を特定できるようになりました。MicroSEQキットなどのApplied Biosystemsのキットは、リボソームDNA(rDNA)配列のサンガーシーケンスによって原核生物と真菌の識別を容易にします。同様に、真核生物は、ミトコンドリア特異的な遺伝子座を識別遺伝子座として使用することで同定できます。この戦略はBarcode of Lifeプロジェクト(barcodeoflife.org)で利用されており、未知の真核生物サンプルの同定を迅速に確定する手段を提供しています。

微生物同定に関するSeqStudio Genetic Analyzerの性能を示すために、ATCCからさまざまな微生物のゲノムDNAサンプルを入手してApplied Biosystems MicroSEQ 500 PCRキットとSeqStudioシステムを使用したシーケンスを実施し、得られた配列をBLASTデータベースと照合しました。各シーケンスについて、もっとも高いBLAST信頼度で微生物が同定されました。同様に、魚類のミトコンドリア配列(CO1遺伝子)と魚類サンプル用のプライマーを使用した実験では、BLASTヒットのトップとして魚類種が正しく同定された。BLASTとの照合で種が正しく同定されていることから、SeqStudioプラットフォームが極めて優れた種の同定に使用できることが示されました。

 生物の数クエリの数正しい同定の割合
微生物2448100
魚類1224100

表1.SeqStudio Genetic Analyzerによる種の同定解析微生物DNAサンプルまたは魚から抽出したゲノムDNAサンプルのシーケンスを、16s rDNA用のプライマーとMicroSEQキット(BigDye Terminator v1.1ケミストリ)、または魚類ミトコンドリアCO1シーケンス用のプライマーとBigDye Terminator v3.1ケミストリを用いて実行しました。

アプリケーションノート:16S Directワークフロー—SeqStudio Genetic Analyzerでの16S遺伝子シーケンスを用いたい微生物同定とMicrobeBridgeソフトウェアによる解析

アプリケーションノート:16S Directワークフロー—SeqStudio Genetic Analyzerでの16S遺伝子シーケンスを用いた微生物同定とSmartGeneウェブアプリケーションによる解析

ゲノム不安定性は多くのがん種の特徴であり、DNAミスマッチ修復(MMR)酵素の調節異常によって引き起こされることが多い。MMRには少なくとも11種類の異なる遺伝子座が関与しているため、それらすべてで不活性化イベントを探すのは複雑で、時間がかかり、費用がかかります。さらに、MMR解析は免疫組織化学(IHC)によって行われますが、これはせいぜい半定量的なものであり、人によって異なる主観的解釈に依存しています。したがって、調節不全のMMRの機能的な結果、つまりマイクロサテライト不安定性(MSI)を解析するのが得策です。これは、PCRとフラグメント解析を用いる分子MSIアッセイによって行うことができます。  

拡張された13マイクロサテライトマーカーパネルと、サンプルの同一性を追跡するために使用できる2つの可変性の高いショートタンデムリピート(STR)配列を含むTrueMark MSIアッセイを開発しました。5つの蛍光チャンネルで13の遺伝子座を解析することにより、MSIステータスの判断に使用できる配列の多様性が向上しました。このアッセイは、SeqStudioおよび3500シリーズジェネティックアナライザでの使用に最適化されています。さらに、正常な非腫瘍組織の並列解析を必要とせず、自動判定機能を備えたアッセイ解析のためのTrueMark MSI Analysis Softwareも開発しました。  

アプリケーションノート:FFPE腫瘍サンプルにおけるマイクロサテライト不安定性解析のための簡素化されたソリューション

さまざまな腫瘍タイプに対するTrueMark MSIアッセイの性能をテストするために、317の大腸(CRC)、胃、子宮内膜、およびその他のFFPE腫瘍研究サンプルを販売されている供給元より入手しました。gDNAを抽出し、SeqStudioおよび3500xlでTrueMark MSI Assayに付属のプロトコルを用いて解析した。。TrueMark MSIアッセイは、腫瘍をMSIの安定レベル(MSS)、低レベル(MSI-L)、高レベル(MSI-H)のいずれかに分類することができた(表1)。CRC、胃、子宮内膜腫瘍で見られたMSI-Hサンプルの数は、公表されている結果と同様であった。さらに、乳がん、腹部腫瘍、肺がんを含む他の腫瘍タイプでもMSIを検出できたことは、TrueMark MSIアッセイが、もっとも一般的に認識されているMSI事象以外にも有用であることを示しています。

腫瘍の種類サンプル数MSSMSI-LMSI-H
結腸7347(64%)026(36%)
5041(82%)2(4%)7(14%)
子宮内膜173136(79%)14(8.1%)23(12%)
その他2117(81%)1(5%)3(14%)

表1.さまざまな腫瘍タイプにおけるMSIの解析。指定された腫瘍サンプルおよび隣接する正常組織の薄片からDNAを抽出し、TrueMark MSI AssayおよびTrueMark MSI Analysis Softwareを用いて解析した。TrueMark MSI Analysis Softwareは、不安定性を示す遺伝子座がない腫瘍をMSS、不安定性を示す遺伝子座が1~4座ある腫瘍をMSI-L、不安定性を示す遺伝子座が4座以上ある腫瘍をMSI-Hと分類した。

マルチプレックスライゲーション依存的プローブ増幅(Multiplex ligation–dependent probe amplification;MLPA)は、一つの遺伝子座のコピー数変異に起因するヒトの遺伝性疾患を研究するために広く使用されている方法の1つです。MRC Holland社によって開発・実用化されたこの方法では、目的の遺伝子座にハイブリダイズする隣接プローブを最大50マルチプレックスペアまで解析できます。MLPAプローブアンプリコン解析に必要な、高いダイナミックレンジ、サイジング精度、ピーク高さの正確さにより、SeqStudioシステムはMLPA解析の実行に理想的なプラットフォームとなっています。SeqStudioシステムで得られる結果は、MLPAデータ解析用のMRC Holland社のCoffalyzer.Netソフトウェアと互換性があります。

SeqStudioシステムを用いたMLPAによって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子のエクソン2-30の重複を有することが知られているプローブから採取したDNAサンプルと、MRCHolland社のP034 DMDアッセイセットを用いた正常サンプルの解析を行った。これらのサンプルのピークの高および相対的な大きさから、重複を含む領域の正確な把握が容易に行えました(図1)。大きな欠失や小さな欠失のためのプローブを使用した場合も同様の結果が得られました。このことから、SeqStudioシステムはCNVを含む領域のMLPA解析のためのツールとして利用可能であることが示されました。

 アプリケーションノート:SeqStudio Genetic Analyzerを用いたMLPAアッセイ

A

COL04030-Figure-8a

B

COL04030-Figure-8b
図1.SeqStudioでMLPAを使用したCNV解析(A)DMD遺伝子におけるCNV検出のために解析されたサンプルのフラグメントプロファイル。いくつかのフラグメントのピークの高さは、上部のサンプルよりも下部のサンプルにおいて高くなっていますが、これはその領域にDNAが過剰に含まれていることを示しています。。(B)対応する比較表では、DMD遺伝子座にプローブを並べたもので、エクソン2-30におけるDMDプローブの比率が明らかに増加しています。青色の閾値を超えるプローブは、コピー数が2から3に増加していることをを示しています。

サンガーシーケンスのもっとも一般的なアプリケーションの1つは、プラスミドにサブクローニングされたインサートの解析です。Applied Biosystems BigDyeケミストリは、サンガーシーケンスに広く使用されており、プラスミドシーケンスワークフローに不可欠な一部になっています。SeqStudioプラットフォームのいくつかの新しい機能は、基本的なプラスミドシーケンス法を行う研究者にメリットをもたらします。このシステムには、短いリード長(<300 bp)、中程度のリード長(500 bp)、長いリード長(>600 bp)に最適化されたシーケンスモジュールがあらかじめ搭載されており、特定のニーズに合わせて装置上でのカスタマイズすることも可能です。交換可能なカートリッジは、個々のプロジェクトやユーザーごとに管理可能です。クラウドベースのSanger Quality Checkアプリケーションは、シーケンストレースを解析するための一連の直観的ツールを提供します。クラウド接続による遠隔モニタリング、アクセス、シーケンス情報の共有は、共同研究者が同じデータセットを迅速に解析するのに役立ちます。

SeqStudioシステムのプラスミドシーケンスの性能を、M13プライマーとApplied Biosystems BigDye Terminator v3.1ケミストリを使用したpGEM7zf+プラスミドシーケンスで確認しました。結果は、Thermo Fisher CloudのSanger Quality Checkモジュールによるシーケンストレース解析によって取得しました(図 1)。ここに示す例では、同じプラスミドを16ウェルでシーケンスし、SeqStudio Genetic Analyzerで4回のインジェクションを実施しました。トレーススコア、Peak Under Peak(PUP)値、連続リード長(CRL)、QV20+は、各サンプルで類似していました。他の鎖のトレースでも同様の結果が得られ、またApplied Biosystems BigDye Terminator v1.1ケミストリを使用した他の実験でも同様の結果が得られました。これらのデータは、SeqStudioプラットフォームが非常に高品質なプラスミドシーケンスが行えることを実証しています。

A

COL04030-Figure-2a

B

COL04030-Figure-3b

図1.Sanger Quality Checkクラウドアプリを使用したシーケンス品質の評価(A)ラン完了後、SeqStudioシステムは結果のシーケンスファイルと各塩基の品質スコアを表示します。(B)16個の別々のpGEM7zf+シーケンシング反応をSeqStudioシステムで実行し、.ab1ファイルをクラウドにアップロードして解析しました。これらの反応では極めて類似したシーケンス指標が得られました。CRL = contiguous read length,、QV20+ = >20のヌクレオチド数。

DNA リピート伸長は、任意の数のマルチヌクレオチド・リピートからなる DNA 変異を表す用語です。多くの場合、これらの領域はGC含量が高いことから、増幅が困難であるため、特性を評価することが困難です。ショートタンデムリピート(STR)は、リピートDNAのカテゴリーの一つです。STRには、ゲノムDNAの長い領域にわたり繰り返される1~6つのヌクレオチドのバーストが含まれ、30以上の衰弱性遺伝性疾患を理解するのに極めて重要です。

CEを用いたフラグメントサイジングは、特に疾患に関連するDNAのリピートセクションを明らかにするのに適しています。多くの場合、これらの領域はGC含量が高いため、増幅および解析が特に困難である。そこで、SeqStudio Genetic Analyzerを使用して、Asuragen AmplideX™ PCR/CE FMR1およびC9orf72試薬を使用する際に推奨されるインジェクションおよびラン設定を確立し、検証しました。FMR1は、遺伝子内のリピート伸長が衰弱X症候群を発症させる遺伝子です。同様に、C9orf72は、遺伝子内のリピート伸長が前頭側頭型認知症、筋委縮性側索硬化症(ALS)のいずれか、または両方を発症させる遺伝子です。

ホワイトペーパー:SeqStudio Genetic Analyzerは、AmplideX PCR/CE試薬を使用したトリプレットリピート伸長の解析を簡素化します。

AmplideX PCR/CE試薬は、repeat-primed PCRおよびCEによって、STR領域を含む完全長アンプリコンと病原性アレルの確証ピークパターンを提供するrepeat-primed増幅産物をレポートするために利用されます。このアプローチは、Applied Biosystems 3130、3500、および3730 CEプラットフォームで確立されており、2010年以降、75件以上の論文に掲載されています。しかしながら、SeqStudio CEシステムで使用されるアレイとPOP-1ゲルポリマーが短いため、以前の装置でのAmplideX PCR試薬のパフォーマンスと一致するようにラン設定を最適化する必要があります。。この目的のために、AmplideX PCR/CE試薬のパフォーマンス要件に合わせてSeqStudioシステムの特定のラン設定を決定・検証するための一連の実験を行いました。Asuragen社のFMR1やC9orf72のような、800塩基対を超えるサイジング分解能を必要とする長いフラグメントアッセイのためのランパラメータを決定するための実験を優先的に設計しました。使いやすいSeqStudioシステムをリピート伸長に対応するAmplideX PCR試薬とともに用いることで、困難とされるGC-およびAT-リッチのリピート伸長のジェノタイピングが行えます。

SeqStudioシステムのFragAnalysisまたはLongFragAnalysisモジュールがシグナル強度に与える影響は同等でした。しかしながら、FragAnalysisモジュールを使用すると、より高いシグナル強度が得られたのに対し(約50%高いシグナル強度)、シグナル飽和状態の遺伝子特異的なピークではスプリットピークの特性が認められました。FMR1とC9orf72の両方でこれらのピークが共通していることから、、LongFragAnalysisをベースモジュールとして使用し、2秒インジェクション、6 kVインジェクションおよびラン電圧、3,300秒(55 分)のラン時間を使用した。これらの条件は、3500xLシステムを使用した場合と同様のプロファイルを提供し、その後の精度と感度の解析で使用されました(図1)。

COL32451-AsuragenSeqStudio-Fig2-Pg51
図1.GeneMapperソフトウェアで作成した電気泳動図画像。(A)3500xLシステムでのFMR1完全変異とSeqStudioシステムでの同一サンプルの電気泳動図、および(B)3500 XLシステムでのC9orf72伸長アレルとSeqStudioシステムでの同一サンプルの電気泳動図。

マルチプレックスqPCRソリューションは、少数の病原体を検査しますが、その処理能力は比較的小さいため、多数のターゲットや病原体を検出する必要がある場合に処理能力が制限されることがあります。キャピラリー電気泳動(CE)によるフラグメント解析は、単一のサンプルで異なる症候群に関連する複数の病原体を検出するのに使用することができます。

フラグメント解析を使用して、病原性ウイルスから複数のアンプリコンを解析できる簡単なワークフローを説明します(図1)。このアプローチを説明するために、SARS-CoV-2由来のターゲットを解析し、ポジティブコントロール合成DNA配列を使用してターゲットアンプリコンのフラグメントサイズを定義および決定する方法を示します。既知量のSARS-CoV-2 RNAゲノムを使用して、この方法の感度を示します。

SARS-CoV-2_detection
図1.フラグメント解析ベースの病原体検出ソリューションのワークフロー。(A)プライマーは、病原体の領域およびスパイクインコントロール(VetMAX Xeno内部ポジティブコントロール(IPC)RNAなど)の領域をターゲットにするように設計されています。たとえば、SARS-CoV-2のプライマーペアを示します。各プライマーペアでは、フォワードプライマーは蛍光色素(*)で標識されています。プライマーをプールしてサンプルと混合し、その後、増幅されてCEによって解析します。ターゲットは、アンプリコンのサイズの違いによって区別されます。(B)。サーモフィッシャーサイエンティフィックは、解析を実行するために必要なすべてのツールを備えています。サンプルを収集した後、わずか2時間でデータを取得できます。

このアプリケーションでは、適切なターゲット配列を特定した後、アンプリコンを150~500ヌクレオチド長に設計する必要があります。各アンプリコンは、他のアンプリコンとは少なくとも5ヌクレオチド異なる固有の長さを持つ必要があります。フォワードプライマーは5'末端で蛍光色素で標識し、リバースプライマーは非標識である必要があります。次に、cDNA合成とエンドポイントPCRを1本のチューブで実行できるシステム(例:TaqMan Fast Virus 1-Step Master Mix)を使用して、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)をセットアップします。。核酸サンプルはPCRにかけられ、得られた断片はCEで分離されます。予想されるサイズの病原体特異的フラグメントが出現するかしないかによって、サンプル中の病原体の有無が決定される(表1)。ピークの高さは、サンプル中のターゲットの存在量を半定量的に示す指標となります。

表1.SARS-CoV-2配列のフラグメント解析によるピークの解釈に関する提案。qPCRベースのSARS-CoV-2テストでの検出を定義するために、同様のガイドラインが使用されています。その他の検出アッセイのパラメーターは、目的の病原体の特定のテストニーズと特性に応じて定義できます。
Xeno RNA control peakSARS-CoV-2 RNA peaksInterpretation results
PresentNoneNegative—no SARS CoV-2 RNA detected
Present3 peaksPositive—SARS CoV-2 RNA detected
Present2 peaksPositive—SARS CoV-2 RNA detected
Present1 peakIndeterminate—retest the same purified sample
No peakNo peakInvalid—no SARS-CoV-2 RNA detected; retest the same purified sample

一塩基多型(SNP)を検出する能力は、ゲノムが生物学的表現型にどのような影響を及ぼすかを理解するために極めて重要です。SNPの変異を解析するために、Applied Biosystems SNaPshot Multiplex Systemが開発されました。カスタマイズ可能なカラーコードされた異なるサイズのフラグメントは、特定のアレルに対応するフラグメント解析によって解析します。SeqStudioシステムには、サイズやピーク面積を含むフラグメント解析の結果のレポートなど、SNaPshot解析を容易にする新しい機能が含まれています。さらに、単一プレート上でフラグメント解析とシーケンス解析を同時設定できるため、1回のラン設定でSNPプロファイリングとサンガーシーケンスが可能です。

SNaPshotワークフローにおけるSeqStudioシステムの機能的有用性を証明するために、腫瘍由来FFPEサンプルからゲノムDNAを抽出し、KRAS G12XおよびG13Xアレルをターゲットとするプローブを用いてSNaPshotマルチプレックス試薬キットで解析しました。SeqStudioシステムの結果からは、この位置での異なるアレルの存在と正確なコールが明示されました(図1)。SeqStudioシステムでアレル検出は正確であったが、ポリマーの化学的性質の異なるため、すべてのピークの絶対的な移動が、他のプラットフォームと比較するとわずかに異なる場合があった。このため、アレルとピークを明確に関連付けるためには、大規模な解析を行う前に、既知のアレルを使用したキャリブレーションを実行する必要があります。

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図1. SeqStudioシステムでキットを使用したSNP解析2つの異なる腫瘍から抽出したFFPE抽出DNA(1 ng)をSNaPshotマルチプレックスキットとKRAS特異的プライマーで処理した後、SeqStudioシステムでフラグメント解析を実行しました。SNaPshotマルチプレックスキットがアレル特異的な色と長さを持つフラグメントを生成します。4つの青色のピークは、KRAS c.34、c.35、c.37、c.38における野生型のアレルを表しています。赤色のピーク(上のグラフ)は、サンプルにKRAS c.35GT変異も存在していたことを示していますが、緑色のピーク(下のグラフ)は、別のサンプルの同じ位置にある異なるアレルを示しています。

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