Orbitrap Fusion Lumos Tribrid Mass Spectrometer

科学研究の進歩につながる設計

Thermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribrid 質量分析計は、先進のパフォーマンスを発揮する質量分析計で、より高い分解能(1 M)、新たな解離手法(UVPD および ETD)、独自の内部キャリブレーション(IC)を実現できるようアップグレード可能です。微量の翻訳後修飾分析、アイソバリックタグを使用したマルチプレックス相対定量、インタクトタンパク質の特性評価、低分子の MSn 解析など、もっとも困難なアプリケーションで優れた機能を発揮します。

このシステムは、革新的なイオン源、選択性とイオン透過性が向上したセグメント化四重極質量フィルター、Thermo Scientific Orbitrap 質量分析計へのイオン透過を向上させる高度真空技術、および高容量 ETD フラグメンテーションを可能にする ETD HD を取り入れています。最新の革新技術である Advanced Peak Determination(APD)アルゴリズムは、データ依存的分析の結果を改善します。また二つのハードウェアオプションを新たに用意しています。213 nm の UV レーザーによる新しいフラグメンテーション技術である UVPD オプションと、1,000,000 FWHM の極めて高い分解能によりアイソバリック化合物の構造解釈および定量性を向上させる 1M オプション。


このページの内容


Orbitrap Fusion Lumos Tribrid MS は、システム生物学の研究者の研究範囲を拡張し、定量やタンパク質特性評価の限界を押し上げます。


Orbitrap Fusion Lumos Tribrid 質量分析計の主な特長と利点

Orbitrap Fusion Lumos Tribrid 質量分析計は超高電界 Orbitrap 質量分析計を搭載し、最高 20 Hz のスキャン速度と、m/z 200 で最高 500,000(FWHM)の最大質量分解能を確保します。Fusion Lumos 質量分析計は、高度アクティブビームガイド( Advanced Active Beam Guide;AABG)および高度四重極技術(Advanced Quadrupole Technology;AQT)を活用し、非常に安定したシステム動作と卓越した分析パフォーマンスを実現します。

Fusion Lumos Tribrid には以下の特長もあります:

  • 最大 10 サンプルを同時測定。
  • 未知濃度のサンプルに対してメソッドを最適化することなく、最大限のペプチド同定を実現するユニバーサルメソッド。
  • ADAPT™(All Dynamically Available Parallelizable Time)技術を使用して、MS と MSn を完全平行化。
  • CID、HCD、オプションの ETD および EThcD を含む複数のフラグメンテーション技術は MS のどのステージでも使用でき、Orbitrap またはリニアイオントラップでの検出と併用可能。       
  • 未検出のプリカーサー由来の極低量ペプチドを定量できるターゲット Synchronous Precursor Selection(SPS)ワークフロー。

Orbitrap Fusion Lumos Tribrid MS の仕組み

Orbitrap Fusion Lumos Tribrid 質量分析計の Orbitrap 技術をご覧くさい。この技術は、m/z 200 で最高 1,000,000 の分解能を提供します。Orbitrap Fusion Lumos Tribrid MS は、高度四重極技術、デュアルプレッシャーリニアイオントラップ、および超高電界 Orbitrap 質量分析計を特長としています。このトリプル分析システムは、Orbitrap およびリニアイオントラップ MSn の両方の分析で最高 40 Hz の取得速度、TMT 技術によるマルチプレックス分析、より高速なスキャン MS 検出器、 微量タンパク質に対してより広範囲に対応する向上した感度、および複数のフラグメンテーション技術を提供します。

Orbitrap Fusion Lumos MS の Flying ion 運動経路大容量イオントランスファーチューブ、電気力学的イオンファンネル、高度四重極技術、高度真空技術、および ETD HD 解離により強化された特性を示しています。

Inside Orbitrap technology
For more details on the various elements of this system, please read the list below.
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1)革新的なイオン源大容量イオントランスファーチューブ(HCTT):Ion Max NG イオン源は、調節可能な加熱型エレクトロスプレーイオン化(HESI)プローブを備えており、HCTT は、真空システムへのイオン流束を増やし、感度を向上させます。

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2)電気力学的イオンファンネル(EIF):EIF は、HCTT の後でイオンを集中させ、真空システムへのイオン流束を増やします。また、エレクトロスプレーイオン化源の感度を向上させることで、検出限界を下げることができます。

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3)EASY ETD イオン源:タウンゼント放電に基づくこのコンパクトなイオン源は、きわめて安定した陰イオン流束により、使いやすさの向上と試薬寿命の延長を実現します。

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4)高度なアクティブビームガイド(AABG):軸方向電場と低域通過フィルタリングを特徴とするこの技術は、ノイズを低減し、中性イオンや帯電したクラスターが四重極質量フィルターに混入するのを防止します。

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5)高度な四重極技術:セグメント化した四重極は、高度な四重極技術を採用し、選択したイオンを対称的かつ効率的に移送して、定量の精度を高めます。

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6)高電界 Orbitrap 分析計:Orbitrap 質量分析計は、m/z 200 で最大 1,000,000 FWHM の優れた分解能設定を誇り、低分子検体の元素組成を確実に特定することができます。

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7)高度な真空技術(AVT):Orbitrap 質量分析計へのイオンの移送を増やし、その中で取得した質量スペクトルの質を高めることで、最適な分析条件を作り出します。

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8)イオンルーティング多重極(IRM):動的スキャン管理機能によってコントロールされる IRM は、実効スキャン速度を向上させ、イオントラップおよび Orbitrap 質量分析計でパラレル検出を促進し、あらゆる MSn 段階で HCD を実行します。

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9)電子移動解離(ETD HD):高品位 ETD は、ETD スペクトルのダイナミックレンジを向上させるために大容量のイオン間反応を取り入れているため、ETD/EThcD 実行時のダイナミックレンジおよび検出限界が改善されます。

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10)デュアルプレッシャーリニアイオントラップ:MSnHCD、CID、および ETD の断片化、さらに最大 40 Hz のスキャン速度で、高速、高感度の質量分析を実現します。Synchronous precursor selection により、装置の S/N 比が向上します。


パフォーマンスを最大化するオプション機能

複数のハードウェアおよびソフトウェアオプションにより、この Orbitrap Tribrid 質量分析計の実験性能を拡張し、パフォーマンスおよび柔軟性を最大化できます。これにより、分解能の向上やより多くの定量を実現でき、より高い生産性とともに信頼性や洞察が深まります。

Thermo Scientific FAIMS Pro Duo インターフェースはプリカーサー選択性を増進させ、より多くのペプチドおよびタンパク質アプリケーションで定性および定量分析の結果を向上させる一方、時間のかかるサンプル調製ステップを低減します。

ボトムアップ質量分析によるタンパク質および翻訳後修飾の同定および特性評価は、質の高い MS および MS/MS データの取得に左右されます。FAIMS Pro Duo インターフェースは、気相分画により分析性能を向上させ、ペプチド化合物の選択性を高めることで、MS スペクトルの複雑さを低減し、分析種のシグナル対ノイズ比を改善します。結果的に、プロテオームのカバレッジが広がります。

詳細を見る

脂質、修飾ペプチド、およびインタクトタンパク質を、それらが複合混合物に存在していても明確に特性評価でき、CID、HCD、ETD、あるいは EThcD では取得できない、独自で構造上の判断情報(例えば二重結合)を得られます。UVPD は固有配列の対応範囲を 20%超増大させ、Orbitrap またはリニアイオントラップ質量分析計で検出可能な MSn フラグメントをリニアイオントラップに産生します。

お客様の体験談

お客様の体験談

Easy-IC Ion Source

EASY-IC イオン源は、調製された数の校正イオンを分析種イオンに送達する二次的イオン源を搭載しています。これにより、質量電荷比(m/z)の割当精度を 1 ppm 未満まで向上できます。この特性は、装置の m/z 校正のリアルタイムでの微細調節を可能にし、温度変動やスキャンごとの差異によるエラーを補正します。この特性がなければ、これらのエラーは未補正になります。

Thermo Scientific 1 M(百万)分解能

Orbitrap Eclipse Tribrid 質量分析計の 1 M という非常に高い分解能より、アイソバリック化合物を分解したり、アイソトープの詳細情報を獲得でき、低分子分析種の元素組成を確実に特定できます。この 1 M 分解能オプションは、構造的に多様なターゲットに対して超高分解能(m/z 200 で 1,000,000 FWHM)で質量測定値を得ることにより、構造的に多様なターゲットの特性評価および定量に非常に役立ちます。

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プロテオミクス研究には単純な同定以上のことが求められます。Thermo Scientific Proteome Discoverer ソフトウェアは、さまざまな研究ワークフローに対応する柔軟性や使いやすいウィザード型インターフェースとともに、包括的な分析ツールを提供します。Proteome Discoverer ソフトウェア独自の高度な統計ツールおよび視覚化ツールにより、自信を持ってデータを解釈でき、サードパーティアルゴリズムを用いて解析を次のレベルに押し上げることができます。

以下のワークフローで推奨:

  • 反復検索法
  • 複数検索エンジンの比較
  • TMT SPS MS3
  • グリコペプチドの同定および定量
  • リン酸化ペプチドの同定および定量
  • トップダウンプロテオミクス
  • クロスリンク

インタクトタンパク質の質量分析であろうと、トップダウンおよびミドルダウン解析であろうと、またはペプチドマッピング、あるいは Multi Attribute Method(MAM)のワークフローであろうと、完全なタンパク質特性評価は困難な場合があります。包括的な解釈やデータ視覚化を容易にするワークフローを使用することで、迅速かつ容易に生物製剤を確実に特性評価できます。Thermo Scientific BioPharma Finder ソフトウェアは、確実なタンパク質特性評価を実現するための適切な道筋の選択をサポートします。

以下のワークフローで推奨:

  • インタクト分析
  • トップダウンおよびミドルダウン解析
  • ペプチドマッピング
  • Multi-attribute monitoring(MAM)
Monitor your mass spectrometry analyses anywhere, anytime.

時間や場所を問わずに質量分析をモニタリングできます。

Thermo Scientific Almanac ウェブベースおよびスマートフォンベースのアプリケーションを使用すると、遠隔から LC-MS システムへのアクセスや管理が可能になり、他の重要な業務に注力できます。

システムステータスやデータ取得のリアルタイムでの確認、データ取得完了あるいはエラーを通知する自動 email の設定、装置アクセスのスケジュールリング、使用状況のモニタリング、またはシステム診断をサポートし稼動時間を最大化させる保守サービスファイルの送信が可能です。

Almanac の主なツール

  • 装置接続プラットフォーム:一つの場所からシステムおよびデータを管理
  • 装置ステータス:状況をリアルタイムで確認
  • 装置ログブックおよびイベント:過去のイベントを容易に確認し、重要情報をログ
  • 装置使用レポート:システムの使用に関する経時的評価
  • 装置スケジューラー:システムへのアクセスおよび使用状況の管理
  • サービスへの送り出し:問題の診断に要する時間を最小化
Almanac Workflow

ラボとの接続:クラウド接続装置により、ラボ内の状況を常に把握できます。システム使用状況やサンプルスループットの長期的傾向、データ取得状況の確認、およびその他の複数の生産性ツールにより、システムを最大限に活用できます。

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Orbitrap Fusion Lumos 質量分析計のターゲットアプリケーション





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