アミン反応性Thermo Scientific TMT™アイソバリック質量タグ化キットおよび試薬は、タンデム質量分析を使用して細胞や組織から抽出したタンパク質のマルチプレックス定量を可能にします。

Tandem Mass Tag™ 6-plex（TMTsixplex™）試薬は、1級アミン（–NH2）基を不可逆的に共有結合標識するためにNHS活性されたアイソバリック化合物（質量と構造が同一で、同位体異性体とも呼ばれる）です。各アイソバリック試薬は、質量レポーター領域に異なる数の重同位体を含有するため、サンプルの同定と相対定量のためのタンデムMS/MSの際に固有のレポーター質量を得られます。この試薬は細胞または組織サンプルから調製したすべてのペプチドを標識し、1回のMS分析で最大6つのサンプルの分析を可能にします。

このMTsixplex Label Reagent Setの特長：

•パワフル – 複数のサンプルを同時にMS分析できるため、サンプルスループットが向上し、細胞、組織、または生物学的液体由来の最大6つの異なるサンプルを相対定量可能
• 一貫的 – TMTzero™、TMTduplex™、TMTsixplex™、およびTMT10plex™の各試薬で構造と性能が同じであるため、メソッド開発からマルチプレックス定量へ効率的に移行でき、幅広いプラットフォームやデータセットでバイオマーカー発見研究を実現
• 堅牢 – 一貫性のある化学により、メソッド開発からマルチプレックス定量への効率的な移行を可能にし、バイオマーカー発見研究を実現
• 効率的 – アミン反応性NHSエステル活性化試薬は、タンパク質配列やタンパク質分解酵素の特異性に関係なく、すべてのペプチドの効率的な標識を確保
• 適合性 – Proteome Discoverer™ 1.0以降で完全にサポートされるデータ分析機能を備えたQ Exactive、Orbitrap Elite™、Orbitrap Fusion™ Tribrid™などの高分解能Thermo Scientific MS/MSプラットフォームでの使用のために最適化済み

アプリケーション：
• 細胞、組織、または生物学的液体の複数サンプルからタンパク質を同定および定量
• 正常 vs 疾患状態、または対照 vs 処理グループのタンパク質発現プロファイリング
• 1回の実験で最大6種類のサンプルを同時に測定
• 抗体を利用できないタンパク質の定量分析
• 膜および翻訳後修飾タンパク質を同定および定量
• 1回の実験で数百～数千のタンパク質を同定および定量

タンパク質発現の変化や翻訳後修飾は、生体の調節と疾病の重要なメカニズムです。液体クロマトグラフィー（LC）や質量分析（MS）装置の進歩、およびバイオインフォマティクスの進展により、サンプル中に存在する数千のタンパク質を高い信頼性で同定できるようになりました。 しかし、ペプチドの分離、イオン化、および検出にばらつきがあるため、質量分析を使用してサンプル中のさまざまなタンパク質を優れた再現性で検出および定量することは困難です。

タンデム質量タグ（TMT）試薬はアイソバリック化学的タグで、タンデム質量分析を使用してさまざまなサンプル中のタンパク質の同定と定量の同時測定を可能にします。アミン反応性NHSエステル活性化化合物は、ペプチドやタンパク質のレジン残基に存在するペプチドアミノ末端および遊離アミノ末端に高効率で共有結合するため、消化に使用する酵素に関係なく、サンプル中のすべてのペプチドを標識します。TMT試薬は同一の構造と質量（同位体異性体）を共有しているため、標識ペプチドはLC分離中に共溶出し、MS/MS分析中に共分離されます。これによりサンプル間のペプチド同定の損失が少なくなります。MS/MS分析では、各アイソバリックタグも断片化され、サンプルの同定と定量に使用される固有のレポーターイオン質量を生成します。タンパク質の定量は、MS/MSスペクトル中の6つのレポーターイオンの相対強度を比較することで行います。

Tandem Mass Tag (TMT) Reagentファミリーは、TMTzero、TMTduplex、TMTsixplex、およびTMT10plexの各セットで構成され、メソッド開発からハイスループットのタンパク質定量への迅速かつ費用対効果の高い移行を実現するよう特別に設計されています。TMTzeroタグは、より高価な同位体標識化合物を使用することなく、ペプチド同定やレポーター検出のためのサンプル調製、標識、分画化、およびMS断片化のテストや最適化を可能にします。TMTsixplex試薬セットは、経時変化、用量反応、反復、または複数のサンプルの比較など、複数条件のsixplexタンパク質プロファイリングを可能にします。各TMTタグは同じ化学構造に基づいているため、実験間で標識条件やHPLC分離条件を修正する必要はありません。

TMT試薬は、スタンドアロンセットとして、または必要な試薬およびコントロールをすべて含む最適化されたキット構成で提供されるため、最大限の柔軟性、利便性、および信頼性を実現します。Tandem Mass Tag Reagentは、業界をリードするThermo Scientific機器およびソフトウェアと組み合わせることで、タンパク質発現の定量分析用に総合的なシステムソリューションを提供します。

その他の製品データ
• 定量的がん幹細胞リン酸化タンパク質プロファイリング

関連製品
TMTsixplex™ Isobaric Mass Tagging Kit

TMT標識ペプチドの高分解能分析用に推奨されるNanospray Flexイオン源用LCカラムはAcclaim PepMap 100 C18 LC Column（カタログ番号164942または164939）です。EASY-Sprayソースに推奨されるLCカラムはEASY-Spray C18 LCカラム（カタログ番号ES802またはES803）です。