GeneArt™高次遺伝子アセンブリシステムは、最大10個のDNA断片を合計で110 kbp長まで、同時にシームレスにあらゆるベクターに入れて構築するための効率の高いキットです。このシステムは、高効率でDNA断片を取り込み組み換える酵母の機能を利用しています。これにより、
in vitroでのDNA処理が大幅に減少し、制限酵素やライゲーションなどの酵素処理が不要になり、DNA配列の正確な融合が可能になります。このキットには、酵母選択培地を含む酵母由来の形質転換および精製用の材料と、適切なクローンをプラスミド増幅するための大腸菌コンピテントセルが含まれています。
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簡単で高性能 — 1つのベクター(最大110 kbp)に、選択した配列を伴うDNA断片を最大10個クローニングできます。制限酵素消化、ライゲーション、組み換え部位は必要ありません
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正確で効率的 — 希望するものを、希望する位置に、希望する方向でクローニングできるように設計されているため、最大90%の正確なクローンを得られ、余分な配列が残りません
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柔軟性 — 当社の線形ベクター、またはご希望のベクターを使用して、末端相同性を持たない既存のDNA断片を、さらに修飾することなくクローニングできます
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無料ツール — プロジェクトをステップバイステップで進められる無料の
ウェブベースのインターフェースを用いてDNAオリゴなどをデザインできます
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多様なアプリケーション — DNA断片の迅速な組み合わせ、追加、削除、または交換により、多くの合成生物学と分子生物学の技術を効率化します
限られたサイズのDNA断片1~4個のクローニングや、
in vitroアプローチをご希望の場合は、
GeneArt™シームレスクローニングおよびアセンブリキット(カタログ番号A13288)の使用をご検討ください。
さまざまなDNAフラグメントから新しいコンストラクトを簡単に作製GeneArt™高次遺伝子アセンブリシステムでは、酵母
Saccharomyces cerevissaeの形質転換関連組み換え(TAR)を利用して、既存のDNAフラグメント、または化学合成オリゴヌクレオチドを1つの組み換え分子に結合します。DNA断片と線形化ベクターを、共通する末端相同性に基づいて結合します。このような末端相同性が断片間に存在しない場合は、関連性のない2種類のDNA断片間に末端相同性をもたらす合成DNAオリゴヌクレオチドの組み換えリンカーを「貼り合わせ」られます。このプロセスは非常に効率的でシームレスであり、構築後に余分な配列が残りません。この製品は、最大0.5 Mb、50個のDNAフラグメントまで有効なことが示されていますが、ベクターは最大110 Kbで10個のDNAフラグメントに最適化されています。
シンプルなクローン検証酵母での作業を最小限に抑えるために、組み換え酵母クローンを、シンプルな10分間のDNA抽出プロトコルで処理します。抽出では、コロニーPCRで結合部を検証するのに十分な量の構築済み分子が得られ、さらに下流解析のため大腸菌細胞の直接形質転換も行えます。キットには、抽出に必要な特許取得済みの溶解バッファーとガラスビーズが含まれています。
クローニングベクターを選択する際の留意点GeneArt™高次遺伝子アセンブリシステムには、収容能が高く酵母と大腸菌に対応するシャトルベクター(BAC-YACシャトルベクター)が必要です。この製品にはクローニングベクターは含まれていませんが、
GeneArt™ pYES1LベクターSapphIRe Technology™付き(カタログ番号A13287)と呼ばれる、すぐに使用できる線状クローニングベクターを別売りしています。独自のベクターを使用することもできますが、高次遺伝子アセンブリシステムとの互換性を有する必要があります。当社の
GeneArt™高次ベクター変換カセット(カタログ番号A13291)を用いると互換性が簡単に得られます。
クローニング効率GeneArt™高次アセンブリでクローニング効率に影響を与える主な要因は、DNAエレメントのサイズ、末端相同性を持たない分子の数、最終分子の総サイズ、およびフラグメントの品質と特異性です。PCR断片の末端(Aオーバーハングまたは平滑)はクローニング効率に影響しません。
末端相同性があるさまざまな断片をGeneArt™ pYES1LベクターSapphIRe Technology™付きに組み込んだ際の標準的なクローニング効率は以下のとおりです。
•>90% - DNAフラグメント5個、それぞれ10 Kb
• >90% - DNAフラグメント10個、それぞれ5 Kb
• >50% - DNAフラグメント10個、それぞれ10 Kb
末端相同性のない既存の断片を「つなぎ合わせたDNAオリゴヌクレオチド」を用いて、GeneArt™ pYES1L Vector with Sapphire Technology™に組み込んだ際の標準的なクローニング効率は以下のとおりです:
•>90% - DNAフラグメント1個、10 Kb
• >75% - DNAフラグメント2個、それぞれ10 Kb
in silicoでクローニングを設計するGeneArt™高次遺伝子アセンブリの重要なステップは、フラグメントとオリゴを、適切な相同性と間隔を備えて正しく設計して、クローンを確実に構築することです。設計プロセスを簡略化し高速化するために、当社では
無料オンライン設計ツールを提供し、
in silicoでの実験計画を支援しています。このツールでは、実験設計と製品仕様との適合性をチェックし、PCR増幅用またはクローニングするさまざまな要素をつなぎ合わせるためにDNAオリゴを設計します。また、ベクターをグラフィカルに表示し、Vector NTI™ソフトウェアと互換性のあるGenBank形式のダウンロード可能なアノテーション付きシーケンスも提示できます。
アプリケーションGeneArt™高次遺伝子アセンブリシステムは、さまざまな分子生物学や合成生物学アプリケーションなどにおいてクローニングやDNAアセンブリ実験を促進するように設計されています。この製品では、交換可能な部分を備えたモジュラー式発現ベクターの作製が可能で、複数のステップを必要とするさまざまなタスクの実行にも使用できます。このキットを使用すると、融合タンパク質の構築、制限部位などのDNA要素の削除、置換、または追加、末端相同性のない既存の大型DNAフラグメントのクローニング、および遺伝子配列の操作を必要とする他の多くの手法を簡単に行うことができます。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.