本ページのアレルゲンは、日本では体外診断用医薬品として承認されていないものを含みます
30,000 種以上ある魚は、タンパク質、ヘルシーファット、オメガ-3脂肪酸、ヨウ素、ビタミンD、およびカルシウムの供給源となっています1,2。 多くの発展途上国では、魚が動物性タンパク質の主要な供給源、または唯一の供給源であり、健康と栄養に注目が集まっている現在、先進国や中所得国でも魚に対する需要が高まっています2。 魚の消費方法はさまざまで、魚卵、キャビア、皮、ゼラチン、血液はいずれもアレルギー反応を誘発する可能性があります。魚肉は、調理や生で食すことができますが、加熱や加工はアレルギーの強さに影響しないようです。むしろ、魚種によってアレルゲン性が異なります1。 魚は、生、粉末、油などの形で加工食品に含まれており、魚由来のゼラチンやコラーゲン製品は、医薬品ゲルカプセルやワクチンなどの非食品製品に使用できます1,3。 魚は栄養学的に重要であり、多くの用途があるにもかかわらず、食物アレルギーのもっとも一般的な原因の一つであり、最近の調査によると、ヨーロッパの人口の2.2 %が魚アレルギーであると自己報告しています3,4。 日本では、即時型食物アレルギーの原因食物として11番目に多い食物です12。中でもサケ、サバは、食品表示法による特定原材料に準ずるものとして表示推奨品目となっています12。米国では、魚は食物アレルゲン上位8つのうちの1つで、魚アレルギーは、特に、北欧諸国の成人に影響を及ぼしています3,5。 多くの食物アレルギーは小児期に発症しますが、魚にアレルギーを持つ人の約40 %は成人してから初めてアレルギー反応を経験します5,6。
残念ながら、ある種類の魚に対してアレルギーがある場合、他の魚に反応する危険性が高くなります。さらに、魚市場やスーパーマーケットなどの環境では、他の魚種との汚染の危険性も高くなります。このような理由から、魚アレルギーを持つ人は通常、あらゆる種類の魚を避けるようにアドバイスされます7 。
魚は揚げたり、焼いたりして加熱調理や、生のまま食されますが、魚卵、キャビア、皮、ゼラチン、血液も魚アレルギー症状を誘発します。さらに、魚や魚由来のゼラチンやコラーゲンは、製薬用ゲルカプセルやワクチンなど、多くの食品や非食品製品に含まれる意外な成分である可能性があります1。 魚はほとんどの食品表示に記載されていますが、油分の一部に魚が含まれている場合は表示されない場合があります3。
一例として食品表示では、魚は次のように表示されます 6:アンチョビー、バス、ナマズ、タラ、ヒラメ、ハタ、ハドック、ヘイク、オヒョウ、ニシン、シイラ、パーチ、カワカマス、タラ、サケ、スクロッド、シタビラメ、フエダイ、メカジキ、ティラピア、マス、マグロ
魚のタンパク質を含む可能性のある食品には、以下があります 6,7: バーベキューソース、ブイヤベース、シーザーサラダとドレッシング、カポナータ(シチリアのナスの付け合わせ)、蒸し煮、魚油、魚のソース、魚のスティック、フリット・ミスト、ゼラチン(多くの場合、魚の皮と骨から作られる)、ガンボースープ、魚肉や甲殻類の加工練り製品(例: すり身、かまぼこ、カニカマ)、ジャンバラヤ、ケジェリー(魚と米の料理)、パエリア、煮出し汁、スープ、ウスターソース
残念ながら、食品調理エリアは混入のリスクが高いため、魚以外のものを注文する場合でも、すべてのシーフードレストランを避けることが最善です5。 また、アフリカ料理、中国料理、インドネシア料理、タイ料理、ベトナム料理のレストランにも注意が必要です。 これらの環境では魚を定期的に取り入れているため、混入のリスクが高くなっています6。 この危険性は、揚げ油にも及びます。たとえば、魚と同じ油でフライドポテト(チップス)を揚げた場合、油には魚タンパク質が含まれている可能性があり、これはフライドポテトにも付着する可能性があります7。 また、魚の切り身にも注意してください。最近の調査によると、多くの魚種は一旦おろされると類似しているように見えるため、スーパーマーケットやレストランでは高価な魚種を安価な魚種で代替する場合があります。たとえば、ある施設では、実際にはティラピアである品目をレッドスナッパーとして表示することがあります。そのため、調理をする人に魚アレルギーをもっていることを説明して、食べられる種類を確実に出してもらうことが重要です5。
魚の皮や骨から採取した魚のゼラチンにアレルギーを持つ可能性があるため、魚油を含む栄養補助食品にも反応する可能性があります5。 この油は、化粧品、トイレタリー製品、医薬品、バスオイルおよびマッサージオイルなどの製品に含まれている場合があります。また、魚由来のオメガ3サプリメントを既知のアレルゲン誘発因子として明確に特定していませんが、魚にアレルギーがある場合は、このような製品を避けることがもっとも安全です7。 アレルギーが重度の場合は、魚が調理される環境に存在する蒸気や湯気に反応することがあります。その結果、水産業における労働者のアレルギー反応は一般的で、これには職業性ぜん息、接触発疹、アレルギー性鼻炎(花粉症)、結膜炎(別名、はやり目)などが含まれます7。
魚アレルギーを持つ人の多くは、さまざまな種類の魚を摂取すると症状が現れる場合があります。これは交差反応と呼ばれ、身体の免疫系が異なる物質中のタンパク質や成分を構造的に類似しているか生物学的に関連していると判断し、反応を引き起こすときに発生します。魚のもっとも一般的な交差反応は、サケ、タラ、マグロ、ニシン*、コイ*、イワシ、シタビラメ*、マス*などの硬骨魚との間で見られます1。
魚は、異なる特性と影響を備えたさまざまな種類のタンパク質を含みます。
※他に感作または交差反応を起こしうるアレルゲンは人により異なるため、自己判断せずに必ず医師の診断を受けることが必要です。
*この項目は日本では保険適用外となります。
魚アレルギーは軽度から重度までさまざまで、時間の経過とともに変化することがあり、その結果、症状が軽度であったり重度であったりすることがあります。食物アレルギーの症状は、摂取後数分で現れる場合も数時間経ってから現れる場合もありますが、ほとんどの症状は2時間以内に現れます8。皮膚、消化管、心血管系、気道などで、以下のような症状が発生する可能性があります8,9。
魚にアレルギーを持つ人は、魚が調理される際の蒸気や湯気に反応する場合もあります7。
そのため、水産業の労働者のアレルギー反応は一般的で、これには職業性ぜん息、接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎(はやり目)などが含まれます7。 空中浮遊する魚粒子はアトピー性皮膚炎(湿疹)を誘発することもあります10。
アレルギー症状の原因を知ることは、治療や対策への第一歩です。自己判断せず、きちんと医療機関を受診して医師による適切な診断を受ける必要がありますので、医師に相談するために症状を記録しておきましょう。症状の記録とともに、皮膚プリックテストなどの検査が役立ちます。アレルギーと診断された場合は、医師の指導に従ってください。
食物アレルギー反応は予測できず、症状は局所から全身まで多岐にわたります。詳細は医師にご相談ください 11。
ぜん息の場合、特にぜん息のコントロールが不十分な場合は、重度の魚に対する反応を起こすリスクが高くなる可能性があります7。