デンプン質の穀物である米は、世界の人口の約半数の主食となっています1。8,000を超える品種がある米は、一般的にその粒長によって特徴付けられ、短、中、長のカテゴリーに分類されます2。また、加工のタイプによってさらに分類することもできます。籾殻のみを除去するように加工された玄米には、少量の脂肪と約8%のタンパク質、カルシウム、鉄、リボフラビン、ナイアシン、チアミンが含まれています。一方、精米して籾殻と糠の両方を除去した米(白米として知られる)は、栄養価が大幅に低下します1。米は通常、煮たり蒸したり炒めたりして食べますが、粉砕して粉にすることもあります。また、米はさまざまな形態で、スープ、ピラフ、パン菓子、シリアル、アルコール飲料などの多くの食品に使用されています1,3。さらに、米に触れたことによってアレルギー性じんましんを発症した例も報告されており、米アレルギーの人は調理済みの米によっても未調理の米によっても影響を受ける可能性があります2。日本での即時型食物アレルギーの報告は多くはありません。全国疫学調査においても、全体の95%以上を占める上位10品目は、鶏卵、ミルク、小麦、ナッツ類、ピーナッツ、果物類、魚卵類、甲殻類、そば、大豆です9。
世界の人口の半分に1日のカロリーの50%を供給している米は、そのまま調理して食べられるほか、粉に挽いて使用されます1,2,3。米はさまざまな形態で、スープ、サイドディッシュ、朝食用シリアル、麺類、アルコール飲料、サラダ、リゾット、ピラフ、パエリア、パン菓子、ケーキ、ビスケットなどのさまざまな食品に使用されています。また、米やライスフレークはデザートとしても食べられ、糠などの精米の副産物は、油などの食品に使用するために回収されます1,3。小麦アレルギーやセリアック病の患者さんであっても、通常は問題なく米や米粉を摂取できます3。
米アレルギーを持つ人の中には、無関係に見える他の食物を食べたときに症状を発症する人もいます。これは交差反応と呼ばれ、身体の免疫系が異なる物質中のタンパク質や成分を構造的に類似しているか生物学的に関連していると判断し、反応を引き起こすときに発生します。米との交差反応をもっとも起こしやすいのは、他の穀物、小麦、トウモロコシ、モモ、柑橘類、ブドウ、トマト、アスパラガス、レタス、ヘーゼルナッツ(ハシバミ)、クルミ、ピーナッツ、タマネギ、ニンジン、スペルト小麦などです7。
※他に感作または交差反応を起こしうるアレルゲンは人により異なるため、自己判断せずに必ず医師の診断を受けることが必要です。
米アレルギーは軽度から重度までさまざまで、時間の経過とともに変化することがあるため、ある時には軽い症状で済んでも、別の時には症状が重くなることがあります。食物アレルギーの症状は、摂取後数分で現れる場合も数時間経ってから現れる場合もありますが、ほとんどの症状は2時間以内に現れます4。皮膚、消化管、心血管系、気道などで、以下のような症状が発生する可能性があります4,5。
イネはイネ科に属するため、イネが商業的に栽培されている地域では花粉によるアレルギー性鼻炎(花粉症)が発生する可能性があり、アレルギー患者さんの間では、イネに触れた後にアレルギー性じんましんが報告されています。米アレルギー反応には、従来の食物アレルギーの症状に加えて、ぜん息、アトピー性皮膚炎、運動誘発性アナフィラキシー(運動前にアレルゲンを摂取すると生じるまれな反応)などが含まれます2,6。
アレルギー症状の原因を知ることは、治療や対策への第一歩です。自己判断せず、きちんと医療機関を受診して医師による適切な診断を受ける必要がありますので、医師に相談するために症状を記録しておきましょう。症状の記録とともに、特異的IgE血液検査または皮膚プリックテストが役立ちます。アレルギーと診断された場合は、医師の指導に従ってください。
食物アレルギー反応は予測できず、症状は局所から全身まで多岐にわたります。詳細は医師にご相談ください 8。