本コンテンツは、当社グローバルサイトのAllergen Fact Sheetsを和訳したものです

ゴマ Allergen Facts, Symptoms, and Treatment

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Allergy Insider

ゴマについて

ゴマ(英名sesame、benneの名前でも知られる)は直立性の植物で、一般にはタンパク質、チアミン、ビタミンB6の豊富な種子のために栽培されています。これらの種子は食品や風味づけに使用され、ゴマ油の製造にも使用されます。ゴマ油はマーガリンやショートニングに含まれるほか、調理油またはサラダ油として、また医薬品、潤滑剤、化粧品、石鹸の製造に使用されます。中東やアジアではゴマの種子を丸ごと含む食品が広く摂取されているのに対し、北米やヨーロッパではパンや焼き菓子などの食品の風味づけや飾りつけにも使用されます1。また、ゴマは、芝麻醤と呼ばれるペーストや、ハルヴァという名前のデザートとしても食べられています2。ゴマアレルギーの有病率には地理的な差があり、イスラエル、日本、ヨーロッパで一般的です3。日本では、平成25年より食品表示法の特定原材料に準ずるものとして表示推奨品目に加わっています10。一方、米国とカナダでは、自己申告によるゴマアレルギーの有病率は人口の約0.1~0.2%です2。ゴマアレルギーは小児期または成人期に発症しますが、小児期発症のゴマアレルギーの80%では、この状態が成人期まで持続します。アレルギーを克服する人は、通常6歳までに克服します4

ゴマはどのようなものに使われていますか?

ゴマの種子とゴマ油は、世界中で一般的に使用されている食品成分です。また、ゴマはスパイスブレンドや香料に広く含まれていますが、これらの食品のレシピは特許を取得したものであることが多いため、スパイスを含むすべての成分ラベルにゴマが記載されているとは限りません7。ゴマの種子はパン、焼き菓子、サラダの上にかかっていることが多いため、特にベーカリー、デリ、サラダバーで抗原に暴露されるリスクがあります。さらに、種子は静電気を発生させ、他の食品や衣類などの表面に付着することが多いため、抗原に暴露されるリスクを高めます4

ゴマを含む可能性のある食品には以下のものがあります7:アジア料理、焼き菓子(ベーグル、パン、ハンバーガーのバンズ、ロールパンなど)、パン粉、シリアル(グラノーラ、ミューズリーなど)、チップス(ベーグル、ピタ、トルティーヤなど)、クラッカー(メルバトースト、セサミバーなど)、ディップソース(ババガヌーシュ、フムス、芝麻醤ソースなど)、ドレッシング、ファラフェル、ふりかけ、麺類、グレービー、ゴマ豆腐、ハーブやハーブ飲料、フムス、マーガリン、マリネソース、パステリ(ゴマのキャンディバー)、加工肉やソーセージ、プロテインバーやエナジーバー、ソース、スナック食品(プレッツェル、キャンディ、ハルヴァ、餅など)、シシカバブ、シチュー、炒め物、スープ、寿司、テンペ、トルコケーキ、ベジタリアンバーガーなど

さらに、以下の成分はゴマの存在を示している可能性があり、アレルギーを持つ人は避ける必要があります7:ベニ、ベニ種子、ベニシード、ゴマ塩、すりゴマ、ゴマペースト、セサミソルト、セサモール、セサム・インディカム、セサモリン、シム、タヒニ、タヒナ、テヒナ、ティル。

食品以外でゴマを含む可能性があるものには、化粧品(石鹸やクリームなど)、医薬品、栄養サプリメントなどがあります7

受診の重要性について
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感作されている可能性のあるアレルゲンは他にもありますか?

ゴマアレルギーを持つ人の中には、無関係に見える他の食物を食べたときに症状を発症する人もいます。これは交差反応と呼ばれ、身体の免疫系が異なる物質中のタンパク質や成分を構造的に類似しているか生物学的に関連していると判断し、反応を引き起こすときに発生します。ゴマとの交差反応をもっとも起こしやすいのは、他の種子類、ナッツ類、およびピーナッツです8

完全にゴマの摂取を避ける必要がありますか?

ゴマのアレルゲン性は加熱によって壊れないため、ゴマアレルギーを持つ人は、調理されたゴマと調理されていないゴマの両方を避ける必要があります4

 

※他に感作または交差反応を起こしうるアレルゲンは人により異なるため、自己判断せずに必ず医師の診断を受けることが必要です。

アレルギーの原因は1つではありません
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一般的な症状

ゴマアレルギーは軽度から重度までさまざまで、時間の経過とともに変化することがあるため、ある発症時には軽い症状で済んでも、別の発症時には症状が重くなることがあります。食物アレルギーの症状は、摂取後数分で現れる場合も数時間経ってから現れる場合もありますが、ほとんどの症状は2時間以内に現れます5。皮膚、消化管、心血管系、気道などで、以下のような症状が発生する可能性があります5,6

  • 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、胃痙攣
  • じんましん(アレルギー性じんましん)、かゆみ、湿疹
  • ゼーゼーする、鼻づまり、息切れ、繰り返し起こる咳
  • ショック、循環虚脱
  • 喉の狭窄、渇き、嚥下困難
  • 蒼白または青色の皮膚
  • めまい、立ちくらみ、失神、微弱な脈拍

ゴマアレルギーの症状にはアナフィラキシーも含まれます。これは、呼吸を阻害し、血圧を劇的に低下させ、心拍数に影響を与える可能性のある全身反応です。もっとも重度のアレルギー反応であるアナフィラキシーは、暴露から数分以内に発症し、死にいたる可能性もあります5

自分がアレルギーかどうかを知るにはどうすればよいですか?

アレルギー症状の原因を知ることは、治療や対策への第一歩です。自己判断せず、きちんと医療機関を受診して医師による適切な診断を受ける必要がありますので、医師に相談するために症状を記録しておきましょう。症状の記録とともに、皮膚プリックテストまたは特異的IgE血液検査が役立ちます。アレルギーと診断された場合は、医師の指導に従ってください。

重大な症状が発生するリスクはありますか?

食物アレルギー反応は予測できず、症状は局所から全身まで多岐にわたります。詳細は医師にご相談ください9

ぜん息患者さんにおいては、特にぜん息の管理が不十分な場合、ゴマに対する重篤な反応のリスクが高まる可能性があります4

  1. Encyclopedia Britannica [Internet]. Chicago: Encyclopedia Britannica Inc.; 2020 Apr 12. Available from: https://www.britannica.com/plant/sesame-plant.
  2. Adatia A, Clarke AE, Yanishevsky Y, Ben-Shoshan M. Sesame allergy: current perspectives. J Asthma Allergy. 2017 Apr 27;10:141-151. doi: 10.2147/JAA.S113612. PMID: 28490893; PMCID: PMC5414576.
  3. Permaul P, Stutius LM, Sheehan WJ, Rangsithienchai P, Walter JE, Twarog FJ, Young MC, Scott JE, Schneider LC, Phipatanakul W. Sesame allergy: role of specific IgE and skin-prick testing in predicting food challenge results. Allergy Asthma Proc. 2009 Nov-Dec;30(6):643-8. doi: 10.2500/aap.2009.30.3294. PMID: 20031010; PMCID: PMC3131114.
  4. The Anaphylaxis Campaign [Internet]. Farnborough, UK: The Anaphylaxis Campaign; 2019 Nov. Available from: https://www.anaphylaxis.org.uk/wp-content/uploads/2019/11/Sesame-2019.pdf.
  5. American College of Allergy, Asthma & Immunology [Internet]. Arlington Heights, IL: American College of Allergy, Asthma & Immunology; 2014. Available from: https://acaai.org/allergies/types/food-allergy.
  6. Mayo Clinic [Internet]. Rochester, MN: Mayo Foundation for Medical Education and Research; 2019 Nov 2. Available from: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/food-allergy/symptoms-causes/syc-20355095.
  7. Food Allergy Research & Education [Internet]. McLean, VA: Food Allergy Research & Education; 2020. Available from: https://www.foodallergy.org/living-food-allergies/food-allergy-essentials/common-allergens/sesame.
  8. EAACI, et al. Molecular allergology user’s guide. Pediatr Allergy Immunol. 2016 May;27 Suppl 23:1-250. doi: 10.1111/pai.12563. PMID: 27288833. Available from: http://www.eaaci.org/documents/Molecular_Allergology-web.pdf
  9. American College of Allergy, Asthma & Immunology [Internet]. Arlington Heights, IL: American College of Allergy, Asthma & Immunology; 2014. Available from: https://acaai.org/allergies/types-allergies/food-allergy/food-allergy-avoidance..
  10. 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン2021.協和企画.2021;177